第3話 ギルド証明書
俺は異世界に来たので、はしゃぎまくっていた。
そんな俺を見ていたゼクサスが、
「お前異世界から来たんだろ、金持ってねぇだろ。しばらくの間、俺のパーティーに入ってみないか」
パーティーとは数人のギルドの集まりで、ずっと一緒にいるものだと先程教わった。
「願っても無い話だ。ありがとう。助かるよ」
やったー。パーティーとか主人公っぽい。
「良いってばよ!」
翌朝、村の広場に案内された。そこには3人の武装した人が居た。ゼクサスは大きな一歩で前にでて、カッコつけるように両手を広げた。
「コイツらが俺のパーティーさ! 皆コイツが昨日話した新人だ。お前らも挨拶しとけよ。あっ、そういやぁ忘れてた。悪ぃんだけどさ、名前教えてくれねぇか?」
俺は慌てて名前を考えた。何故なら、しゅうとなんてこの世界じゃ変な名前だろう。
「シュウって言うんだ。先日教えなくて悪ぃなゼクサス」
やばい。咄嗟に答えたから変な名前言っちまった。
アーサーとか言えば良かったぁぁぁ。
「おう! よろしく。改めて言うが俺はゼクサスだ」
良かった。何もツッコまれなくて。
「オイラはハーツよろしく♪」
ハーツは小柄で百五十センチくらい、丸顔で気楽そうな印象だ。髪は茶色。
「私はローズ。よろしくね」
ローズは百七十五センチくらい、スタイル抜群。目がでかく、チャラそう。黒髪で両肩から髪を下ろしている。
「私はヒナ。よろしくお願いします」
百五十センチ以下、人と喋るのが苦手な様な気がする。銀髪でショートヘアー。
パッと見の印象はそんな感じだ。
「パーティーメンバーとしてよろしくお願いします」
改めて頭を下げた。
早速、俺たちはギルド集会所に向かった。
ギルド証明書を貰うには試験がある。スライムを一人で5匹倒すこと。
なんでそんな事があるのかと言うと、スライム程度で死んでしまう様な人は危ないのでギルドにはしないらしい。そういう事で、すぐ死なないか才能を見るみたいだ。スライムってあのスライムだよな?
「本当にスライムだけで才能をみれるのか? 」
俺がそう言うと、ゼクサスは小馬鹿にするように言った。
「なに言ってやがる。スライムは恐ろしい魔物だぞ。奴らは顔に引っ付いて窒息死させたりする。オマケに窒息死させた後、死体をドロドロに溶かして食べるんだぜ!」
ゼクサスの話に固まる。
だってスライムだぜ? 冒険始めてから最初に倒すモンスターだろうが。なんで窒息死とか可愛くない事すんだよ、体当たりだけでいいじゃんスライムなんて。
「まぁ安心しろ。いざってときには助けるからよ!」
「あ、あぁ助かるよ」
そんな事を話していたら村から出て森の奥についていた。
木漏れ日が綺麗なごく普通の森だ。
俺はハーツから貰った剣を強く握る。
何処だスライムは?
ドキドキしながら一歩一歩進む。
ガサッ!
俺の頭上から音が聞こえた。反射的に上を見上げた。するとスライムが俺めがけて落ちてきた。
「ゴボッ!」
息が吸えない! 苦しい。俺は剣を離し、顔についたスライムを取ろうとするが通り抜けて取れなかった。
あっ、やばい。三途の川が見えてきた。
「ヒナ、任せた」
ゼクサスが何か言っていたがどうでも良い。早く助けてくれ。
「ん」
ヒナが俺の方に杖を構える。すると炎の玉が飛んできた。
ボン! 破裂音の様な爆発した音が聞こえた。その火の玉によりスライムは弾けて俺は顔を火傷し、倒れ込んだ。
俺はすぐに立ち上がるとヒナに駆け寄った。火傷の痛みなんて忘れている。
息が出来ない苦しみから救われた事が嬉しかったからな。
「ヒナ! ありがとう。本当にありがとう。命の恩人だぁぁぁ」
「ん」
ヒナ以外笑っていた。そうだろ。俺はスライムに殺されかけたのだから。恥ずかしい。
何度も死にそうになったが26体目でやっと自分の力で5匹倒すことができた。やっとの思いでギルド証明書を貰ったのだが、
「スキル載ってない・・・・・・」
「スキル無しか。ははははっ!」
いやいや笑い事じゃねぇよ。俺は魔法でヒロインと世界を救う展開を待ち望んでたのに、魔法はカス魔法しか存在しないし、唯一強い魔法みたいなのはスキルだけなんだろ。それがねぇって事は多分俺はこの世界で、
「最弱やんけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
俺の肩にそっと手を乗せたゼクサスが、
「そんなガッカリした顔すんなよ。スキルは急に習得する場合があるからよ」
安心したぁぁ。スキル無しの雑魚にはなりたくねぇから。
その後、俺がずっとこのパーティーにいたいと頼むと、皆んなは嬉しそうに許可してくれた。
改めて確認するが、このパーティーは俺を入れて男は3人、女は2人。
ゼクサスは熱血系の男。
ハーツはチャラいけど可愛いぽっちゃりだ。
ローズは大人の女性って感じが強すぎる。酒が好きだ。
ヒナは清純系、別に人が苦手ではないらしい。俺のどタイプだ。
つまり! ヒロインなのではないのだろうか!?
諸君、考えてもみたまえ、異世界いったら自分の好みの女の子に出会える。つまりその子がヒロインであろう。
そう考えるとウキウキだ止まらない。
そして、皆んなに戦い方などを教えてもらいながら、俺はどんどん魔物を倒した。
俺は楽勝でスライムを倒せる様になったし、スケルトンという骨の化け物にも勝てるようになった。
やべぇ、スキップスタートみたいな展開だけど超楽しいぞこの世界。
ここから最強への道のりを歩むんだ!
そんな事を考えていると、辺りが段々と暗くなってきた。
「よし! 今日はこの辺で帰るか」
ゼクサスの言葉に、皆んなは村の方へ歩き始める。
少し進んだところで皆んなの足が止まる。
「何でコイツがここにいるんだ!?」
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