第13話 あぶない実験
メリナアルトさんは、私専属のメイドさんだ。年齢は私と同じくらい。黄緑の混じりの青い髪が神秘的で可愛らしいお方です。馬車の中で眠気を抑えきれないで寝そうになっているところ、メリナアルトさんが膝枕をしてくれるというので甘えました。
前世で夢見た膝枕を、しかもメイドさんが!メイドさんがですよ!眠気は吹き飛び興奮していた。前世だったら我慢できていただろうか。我慢というのは鼻血の事です。例え前世であっても襲うなんてしない、そんな至高の存在を汚してはいけないのです。
ちなみに、メイドさんの服装は日本で流行ってたスカート丈が短い物ではなく、ヴィクトリアンメイドと分類されるタイプで、足首が見えるかどうかというくらいスカート丈が長い物だった。
前世の私が好んでいたのは勿論、こちらの方だ。スカート丈の短いのは学校の制服でも十分短い子がいたので、その手の刺激を求める事は無かった。少数派とかマニアックだとか言われようが、それがいいんだから仕方がない。
メイドさんの膝枕に癒されつつ、到着したお屋敷は憎たらしくて仕方がない。
どうしてもっと遠くにお屋敷を作っておかないのかと。
馬車が到着すると同時に婚約者のステイクさんが玄関から出て来てお出迎えをしてくれた。
「ようこそいらっしゃいました。歓迎いたしますよ、アスティーナ嬢」
「お招きいただき、ありがとうございます」
という形式ばった挨拶を経て屋敷の中に通される。案内されたのはドルトニア子爵の書斎。そしてここにステイクがいない、それはそれで都合がいいけど、どうしてなのかと 疑問符が頭上を徘徊する。
だが、件のステイクさんの親、ドルトニア子爵当主様との直接対決だ。私からすれば敵地も同然なのだから気を付けて対応する必要がある。
その部屋には書斎机と座り心地が良さそうな椅子があり、ドルトニア子爵が座っている。臨時で置かれたにしては高級そうな椅子が机の手前側にあり、そこに座るように勧められた。
「今は初めましてと言った方が良いですかな。ステイクの父のウェルク・ドルトニアだ。話は聞いているがこちらとしては婚約破棄する気まではない、その内記憶が蘇るだろうから破棄するかどうかはそれから判断すれば良いと思っているのだよ。とりあえず私の事は以前の通り『おじさん』と呼んでもらって構わない」
なんだか優しい雰囲気のある人だった。前世で両親が亡くなった時に身元引受人に名乗り出てくれた叔父さんに雰囲気が似ていた。
それにしても本当におじさん呼ばわりして本当に良いのだろうかと迷ったが、アスティーナがそれだけ打ち解けていたのなら他人行儀になる事で寂しい思いをさせると思い、言われた通りに呼ぶことにした。
「ご配慮ありがとうございます、おじさんは私と仲が良かったのでしょうか。この屋敷に来て何をしていたのか知る事が出来れば記憶を戻す切っ掛けになるかもしれないので、教えてもらえると嬉しいです」
「そうですね、貴女はステイクよりも私と一緒に居る事が多かったのですよ。そして貴女は膨大な魔力を提供し私は研究しているある機材を提供していました…と、これ以上の事は内密にして頂く必要がありますが、よろしいですかな?」
私は頷いた。聞き出さない事には始まらないのだから。というか『ある機材』という物を早く見せてほしい。きっと決定的な証拠になるはずだ。
この時の事を後で思うと完全に昨夜の事を引きずって自暴自棄になっていたと反省する事になる。
「まぁ、記憶が戻ればどのみち秘密にする様になるのですから。貴女は貴女の為にも話さない方が賢明です」
うん?何かすごく嫌な感じがした。非はアスティーナにもあるのか?共犯となれば証拠を出せるのかが怪しくなる。
「私の研究は魔臓なんですよ、最終的には人工魔臓を作るつもりです」
「はぁ」
「ああ、そうでしたね、異世界の記憶しかなければ魔臓をご存じありませんね。説明するとですね─」
魔臓とは人体が魔力を製造し蓄積するための器官だ。
通常は地球で言うところの排泄物を燃焼させて魔力に変換するが、女性に限っては子宮からも燃焼物を吸収できる。つまり食べるのには限界があるが、子宮に直接入れれば無限に魔臓は魔力を製造し続けれるという訳だ。ちなみに吸収させるのに最も適しているのは血液になるらしい。
おじさんが研究しているのはその吸収能力を生かして膨大な魔力を生成、取り出すという機材だ。
アスティーナは魔力量が多くて、その循環速度が速かったから機材も大型化が必要になったりとか試行錯誤が続いていた。ただ最終的には魔力の製造速度が重要で、その速度がどうにかなる目途が付いた所で事故が起きてしまった。
「それで、私は何をしていたんですか?」
「人が入れる容器がありまして、そこに浸かっているだけでしたよ」
「…裸で?」
「はい」
アスティーナはなにやってるの!身内でもない人に肌を晒していたってことか。
「ああ…勘違いしないでいただきたいのですが、容器の中は見えないようにしてあります、決して嫁入り前のお嬢様の裸を実験中に見る事はありませんでしたよ」
そっか、少し安心した。
「少し試してみませんか?最新の機材なので、このような実験は今回で終わりになるかも知れませんが」
「…はい」
とりあえず、その機材が見たい。そんなつまらない好奇心だった。
おじさんは書棚にある本を少し動かすと、本棚が動いた。
下に降りる階段が現れて、私はそれについて行った。
降りた先はあからさまな研究室で、言われていたような大きな容器があった。高さは私が全身入れる程度で広さは女の子座りをしても余裕がある程だ。内側には階段替わりになるようなでっぱりと、縦に一本握る為だけにある様な大きな取っ手がある。
脱衣用の場所が用意されており、そこからは容器に誰にも見られずに入れる様になっていた。
「それとこの注入棒。容器に入ったら付けてください」
柔らかめの長い棒の様な物だった。どこにつけるんだ?こんなもの。
「女性器に差し込むんです、手で握れる程度の長さを残して入れてください」
これってタンポンみたいなものか?それそのもの見た事はないけど、そんな感じがした。かなり悩んだけどやってみる事にした。服を全て脱ぎ容器に入る、注入棒を入れるのには少し苦労をした。見ずに入れようとする事と、あそこを広げるという行為がさらに難易度をあげている。実に直接触るのは初めてだからだ。入れるとととんでもなく変な感じだが、入れ終わるとそうでもなかった。
「注入棒を入れました」
「そうですか、最初は刺激が強いかもしれませんから気を付けてください。では、溶液を注入します」
溶液は真っ白な物で少々臭かった。ひざくらいまでたまった時点で、牛乳だと思った。母乳であれば血液から生成されると言うが、牛乳はどうだっただろうか。同じ仕組みの筈なのだから、最も吸収に最適な血液の代用品としては納得ができる。
「あ、その溶液は主成分が牛乳だけど混ぜ物なので、飲まない方が良いですよ。では貴女の腰のあたりまで入れますね」
どうやら、シルエットで私の姿勢は把握できているらしい。
溶液はどんどん注がれてゆき、次第に股下を濡らし始めた。
腰にたどり着くころには注入棒が太くなっていると感じたが、それだけだと思っていると下腹部が溶液で満たされるのが分かった。その注入棒が溶液を吸い上げて私の中に入って来たのだ。
入ってくる時の勢いに感じてしまい、足に力が入らなくなって腰を落としてしまった。そのせいで溶液が口の近くまで来て、危うく飲んでしまう所だった。
「おかしいですね、魔力が製造されていません」
「機械の…故障…なの…ですか?」
以前耳を刺激されていた時以上の刺激だった。
全身力が抜けてしまえば溺れてしまう。
どうしようか考えていると、おじさんから質問がきた。
「もしかして避妊魔法使っていないのではないでしょうか」
「なんで…すか‥それ」
「ああああ、そうなんですね、ええと子宮は避妊魔法を使わないと殆ど燃焼物を吸収しないのですよ」
「かけて…ください」
おじさんは了解をして容器の外側から、魔法を唱える。
『
【
その呪文と同時に下腹部に溜まった溶液が無くなったのが解って少し楽になった。
というか女性はこんなことも感知できるのかと思ったが、地球のそれとは異なるかもしれないし、童貞だった私に知る由はなかった。
だが、その直後にさらに刺激が押し寄せて来た。
溶液が無くなったのだからと、注入棒がさらに溶液を吸い上げて勢いよく下腹部内を刺激してくる。
「ふぁぁ……ああぁ……ああぁ……」
我慢できずに声が出続けて頭が真っ白になってゆく。たぶんいったんだと思う。だが、その敏感な状態でさらに刺激は続く。足どころか全身に力が入らなくなり、容器内に設置されている縦についた取っ手にもたれかかった。
溶液は吸い上げている為に少し減ったので口に入る事はないが、胸あたりまではあり、足りない分は次々容器内に注がれていった。
いつまでも続く刺激に何度もいってしまい、快感が地獄にかわっていった。気が変になると思った。
自分が判らなくなりそうな刺激が続く。その中おじさんは何か叫んでいる。
「すごいぞ、これまで以上の魔力量だ!これなら成功するかもしれない」
早く…止め…。
私の意識はここで途絶えた。
私が力尽きて溶液が口から入ってくるのを察したおじさんが焦って駆け寄ってきてた所までは覚えていた。
目が覚めた時、私はバスタオルに身を包まった状態で横になっていた。あの時のような刺激はもう無かったが、その時の感覚が恐怖となって自分に襲ってきた。恐怖で涙が止まらない、全身が震える。死ぬかと思ったのだ。アスティーナはこんなのをやってたのかと思うとアスティーナであることをやめたくなる。
そうしていると、おじさんが優しく頭を撫でてくれた。
「実は、私と貴女は肉体関係もあったんだよ」
ビクリと体が反応してしまう程、衝撃的だった。一体何歳差があると思っているんだ。もしかすると私にも求めてくるのだろうかと不安になってきた。
「求めてきたのは貴女の方でね、あの実験の後は人からの刺激が欲しいと言って体をゆだねて来たのだよ。そして私達は愛し合う様になってしまった。誰にも内緒でね。これは息子には申し訳ないと思うが、仕方がない事だったんだ」
言っていた「裸を実験中に見る事はありませんでした」というのはそういう事か。
「今回はどうしますか?」
私は大きく首を振った。
「そうですか、やはりあの事故は天が私に与えた罰なのですね。安心してください婚約は破棄しておきます、ドルトニア家とこれ以上関わらないでください」
そう言うおじさんの背後に変に魔力が溜まっている空間があると感じた。
「ああ、あれですか、あれは貴女の魔力を使って成しえた魔法陣ですよ、すぐにどういう物かすぐに知る事になりますよ」
それが何かなのかを考える余裕はなく、私は自分の屋敷に戻った。
最後に一言「記憶が戻っても貴女だけは生き延びる事を願います」と言われた事が、いつまでも頭から離れなかった。
その日の内に婚約破棄が正式に手続きされ、夜にはドルトニア子爵領が魔物の大軍によって占拠されてしまった。
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