(二)‐8

 しばらくすると、PCが川崎陸曹の声で、爆弾の入った箱を外側から液体窒素スプレーを吹き付けて冷却処理が完了し、遠隔操作ロボットを使って移動させる旨の通信が入った。

 大川と浅野はパソコンのモニターをのぞき込んだ。画面は動いていなかったが、音声が続いた。作業はパックボットに任せて処理班はトンネルの出口まで後退したものの、電波が届きにくくなったので、50メートル程離れた所から操作するという。

 そうしていると、四分割のうちの左上の画面が動きはじめた。モニターに映し出されているのは高速道路上のロボットのカメラの映像になっていた。画面の正面にコンクリートの壁とその上の白い箱が見えた。爆弾は、車道から一段高いところに設置された非常時に待避できる通路上に置かれていた。周囲には他に遮蔽物はなかった。唯一の懸念は爆弾が置かれている場所が、路上から1メートル半程度高くなっている点であった。とはいえ、遠隔ロボットのアームなら十分届く距離だった。


(続く)

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