2話 劣等種ですが!? ●

 とりあえずスラスケが倒したこの鬼獅子オーガンを蘇生してみよう。いや、死んでるかどうかステータス確認するのが先か。簡易ステータス確認…と。


鬼獅子オーガン

 HP: 0 / 874 MP: 274/274


 よし、死んでるな。ていうか…800越えのHPをあんな短時間で削り取る魔法って…こいつの状態異常耐性が低いのもあるが、それでも限度ってものがあってだな……本当にスラスケには頭を抱えさせられる。


「リズ、こいつを蘇生してみてくれない?」

「蘇生…ですか? どうしてまた」

「スラスケが強いヤツと戦いたいって言ってたから、念の為の保険に蘇生できた方がいいなと思って。死んだらどうしようもないし。」

魔物には蘇生って概念自体なかったのかもな?スラスケも蘇生のことは頭にもなかったみたいだし。これが文化の違い…なのか?

「分かりました」


 そういうと、リズの身体が白く光り始める。そして、鬼獅子の死体が同じように光始めた。


 ――ピクっ


 あ、足が動いた。

「…成功した…? のか?」

 ステータスを確認する。


鬼獅子オーガン

 HP: 1 / 874 MP: 274/274


「瀕死だけど生き返ってる……!」

「やりました!」


 本当にできた。しかし、喜ぶと同時に負の考えが頭によぎった。

 獣神ならではの事なんだろうけど…もしこれが当たり前になれば冒険者の常識が覆るな。

  もしそうなれば魔物と人間で全面戦争になる可能性すらある。全魔物の言語を理解できるプラス全ての魔物を支配できるほどの力を持ったやつが現れば、それは避けられまい。今はそんなことを考えても僕らには関係のないことだな。ほとんどの魔物はいつか限界がくるし。


「これでとりあえずはスラスケ、これで死闘ができるぞ!」

「やったな!!」


 蘇生と言うチートが増えたおかげで、スライムのチートっぷりに拍車がかかった。それと同時にお前を懲らしめる作戦の幅も拡がったんだがな…ふふ。


「これどうしますか?」

 確かに、どうする? 仲間になるか? いやならんだろ。殺されかけたんだから。会話できるかな?

「話しかけてみよう」

「大丈夫でしょうか…?」

何を心配することがあろうか!


『もしもーし。』

『…なんだ…貴様は…』

『見ての通りスライムです。あ、今転写してるからリズの格好だった。』

『スライム…だと。…そんな…劣等種が…こんな森の深くで何をして…いる…』


 劣等種…


 その言葉にちょっとだけカチンときた。高校時代僕も現実ではあまり充実してなくて、他人にそんなことを言われた記憶がある。実際僕も劣等感抱いてたんだよね。まぁ、サルが何言ってんだって思って強がってたけど。


『君、その劣等種にやられたんだよ。感想は?』

『…黙れ…劣等種が。そんな…はずはない。貴様…らの姿は…なかっ…た』

『そんなこと言うんだ。』

「スラスケ、ダメージ与えずにただただ痛い魔法こいつに撃って」

『スライムが…魔法だ…と?』


「なんでだ?まあいいか」


『――――ぐがあああああああああ!!!』


 スラスケの体が淡くひかると同時に鬼獅子の体がピクピクと痙攣しだした。もちろん、叫び声などはリズ達には聞こえてない。念話を使っているときは意識がそっちに集中するから言葉が話せなくなるのは冒険者時代に検証済みだ。


『どうだい? 僕ら劣等種の魔法は』

『わがっだ…がら…や…やめてぐ…れ』


「スラスケ、辞めていいぞ」

「えぇ、撃ったばっかなのに…」


 そう言いながらも、鬼獅子オーガンの痙攣は止まっていた。


「スラスケこいつと話せる?」

「話せる訳ないだろ?」


 僕だけなのか…? 魔物同士でも種類が違えば言葉が通じないなんてあるんだな。でも多分リズは話せるだろう。


「そうか。こいつどうする? さっき劣等種って言われてカチンときたから痛い目みてもらったけど」

「別にどうしてもいいんじゃね?」

「私は…骨が欲しいです。」

 犬だもんな…。

「わかった。とりあえずやってしまおう」


 ――べしっ。


 猫パンチならぬ犬パンチをかました。これでも充分な威力があるらしく、このレベルの魔物にもダメージが通った。


鬼獅子オーガン

 HP: 0 / 874 MP: 274/274


 死んでるわ。


「倒したから、どうする? リズは、骨どれくらい欲しいとかある?」

「太もものを1本貰えたらそれで満足です!」

「じゃあ、後ろ足1本残してあとは僕とスラスケで分けようか」

「だな」


 リズが鬼獅子の後ろ足を咥えてささみを裂くほど軽々しく、また豪快に引きちぎる。転写を解き、残りを僕とスラスケで分けた。


 吸収してる間にステータスを確認しとくか。



 種族『THEスライム』

 Lv3 ♂ スラオ


 進化まで後Lv57


 HP: 763 MP: 583


 攻撃力: 518

 守備力: 572

 素早さ: 391

 魔法耐性: 289


 特技 転写


 スキル 毒霧 硬化 撃進 鞭打ち トゲ


 個体特性 無し


 特殊技能 無限成長


 称号 転生者・超晩成型・進化者・変態・卑怯者・人の道を歩む者



 2しか上がってないのか…。まぁそうだよな。実際倒したのはどっちもスラスケだったし。スキルが増えない原因はなんだろうな…魔法も使えないし。



 種族『魔スライム』

 Lv9 ♀︎ スラスケ


 進化まで後Lv51


 HP: 764 MP: 957


 攻撃力: 387

 守備力: 534

 素早さ: 438

 魔法耐性: 569

 魔力: 823


 特技 転写


 スキル たいあたり 毒霧 硬化 魔力操作


 個体特性 無し


 特殊技能 無限成長



 スラスケは完全に魔法特化の伸び方だな…。それより、あんだけの量の魔物倒しても8しか上がんないのか? 一気にレベル上げるの大変になったな…。森を抜けて非遮平原にいくか?結局三体目倒す前に行かないといけないことになるかもしれないけど。



 種族『獣狼神』

 Lv25 ♀ リズベルト・サンテリア


 進化まで後Lv---


 HP:2984 MP: 2613


 攻撃力: 3412

 守備力: 2438

 素早さ: 4005

 魔法耐性: 3182

 魔力:5839


 スキル テオス


 個体特性 獣神



 リズは変わってないみたいだ。そりゃそうだよな。熟練冒険者がスライム倒してもほとんどレベル上がんないのと同じか。ドラゴン倒したときでさえ2しか上がってなかったし。にしても、個体特性の『獣神』が気になる。

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