第2話 ついに来た!? はじめの一歩

 レベル上げの方法を知って4日目。今日も昨日のベチスライムに付き合ってもらいレベルをあげた。


 チャリン。


 チャリン。


 チャリン。


 Lv14まで来た。


「どうだ? 進化できそうか?」


 しんせつなベチスライムが尋ねてくる。


「あと1レベル上げればできるよ」


「そうか! ならもうちょい頑張るか」


 チャリン。


「ありがとう。もう進化できるよ」


「おお、そうか! 今やって見てくれ!」


『進化可能レベルに達しました。進化しますか?』


 脳内でアナウンスが流れる。もちろん。はい。だ。すると、青い光が体から発せられ、体の中が熱くなる。


『スライムから進化し、ベチスライムになりました』


 無事成功したようだ。ステータスを確認しよう。




 種族『ベチスライム』

 Lv1 ♂


 進化まで後Lv19


 HP: 8 MP: 4


 攻撃力: 4

 守備力: 4

 素早さ: 6

 魔法耐性: 3


 特技 無し


 スキル たいあたり+1 毒霧


 特殊技能 無限成長


 称号 転生者・超晩成型・進化者



 おっ、スキルがひとつ増えてる。『毒霧』かー、確か潰れたスライム特有の技だった気がするな。ステータスは少しだけあがったみたいだけど、潰れてるせいか素早さが落ちてる。でもなんだか興奮してきた!!


「すごいな!! 初めて目の前で進化するやつ見たよ!」


「なんか、力が湧いてくる気がする!」


「だろ!? このまま2人で強くなろうぜ!」


 話が盛り上がった。


「あ、名前聞いてなかった。僕はスラオ」


「そうだったな、俺はスラスケだ。よろしくな!」


「よろしく!」


 20年生きてきて初めて友達ができた瞬間だった。やべぇ! 20年フリーズしてた僕の人生の歯車が今回り始めた気がする!!


「なぁ、明日からちょっと森の方に出かけね? 俺そろそろ冒険してーと思ってたんだよ」


 冒険か〜。確か今の状態だと、初めて討伐依頼を受けた冒険者程度に余裕で負けるんだよなぁ。森は冒険者が入って来にくくて、隠れやすいっていうこともあるけど、あんまり行きたくないな。


「まだ危ないと思う。冒険者に見つかったら確実に死ぬよ?」


「大丈夫大丈夫! 俺には毒霧があるからな!」


 あぁ、ストーリー序盤でエリアボスに挑みに行って真っ先に死ぬやつだ。これ。

 スキルレベルの概念もないだろうし絶対大丈夫じゃない。ためにしステータス覗いてみるか。



 種族『ベチスライム』

 スラスケ

 Lv9 ♀


 進化まで後Lv11


 HP: 14 MP: 7


 攻撃力: 8

 守備力: 7

 素早さ: 8

 魔法耐性: 5


 特技 無し


 スキル たいあたり 毒霧



 うん。まぁそうだよね。進化したって言っても所詮スライムだもん。レベル上がったところでほとんど変わんないのはわかってた。この能力なら多分他の魔物にも勝てないわ。スキルを駆使すれば行けるかもしれないけど、毎回死闘だね。ていうか女の子だったのかよ! 

 あんなこと人間の姿でやってたらと想像すると大惨事だわ!


「次の進化してから行かない? もうちょっと知りたいことがあるんだよ」


 まぁあながち嘘ではないが、8割嘘だ。


「スラオがそう言うならしゃーねーな。そうするか」


「ありがとう!」


「んじゃ、とっとと行きてーし、これからぶっ続けでやるぞ!」


「え、ちょっ……わかった。」


 女の子と知ってしまったらスライム相手でもちょっと緊張しちゃうんですが。なんせ転生前の僕は17歳のピチピチ高校生ですからね。


 相手はスライムだし、そう。スライムだ。相手はあのスライムだ。と、自分に言い聞かせた。


 チャリン。


 チャリン。


 チャリン。


 チャリン。


 チャリン。


 チャリン。


 Lv1だったこともありすぐにLv7まで上がった。夜になったからスキルレベルを上げたいんだけど、まだ続くみたいだなー。


 チャリン。


 チャリン。


 チャリン。


 Lv10になった。一気にレベル上がったのは嬉しいけど、なんか………気恥ずかしい。まあいっか。


「ね、ねぇ、今日はここまでにしてまた夜が明けたらやらない? 疲れたでしょ?」


「疲れてないぞ? まぁスラオが疲れたって言うんなら少し休むか!」


「サンキュー!」


「え?」


 あ、ちょっと調子乗ってサンキューとか言っちゃった。


「あ、いや、これはあれだよなんて言うか。掛け声っていうか? 感謝してる時に言うやつ。」


「お前自分で言葉を作ったりするんだな。リズムいいし俺もこれから使わせてもらうわ! サンキュー!」


 なんだこれ、楽しい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る