スライム下克上〜冒険者から舐められるスライムは《超晩成型》です〜

@サブまる

第1章 第1の魔王

第1話 スライムって、悪くないですよ。

 ここは、人里から離れた場所にあるスライムの里。スライムとは、ストーリー序盤で冒険者にレベル上げのために狩られまくる、言わば『最弱の魔物』。

 そんなスライム。実は魔王を倒せます。



 ーーーーーーーーーーーー



「おーい! 遊ぼーぜー!!」


 今日も若いスライムたちが元気に遊び回っている。


 ゲーム中に目の前に巨大なゴキブリが現れ、ショック死してからはや20年。僕はこのスライムの里で過ごしている。僕はスライムに転生したのだ。


 なぜ20年もこの里で暮らしているのか。それは、外に出れば駆け出し冒険者に片っ端から狩られまくるからだ。


 この世界は多分僕がやっていたゲームと同じ世界だ。だが、僕は冒険者をやっていたからスライムのことなんか全く知らなかった。知っていたとすれば青くてプルプルしてるということくらいだ。


 20年ここで生活してわかったことがある。こいつら、進化に制限がない。どういうことかと言うと、普通の魔物は多くても5回〜8回進化すれば最終形態になるが、このスライムにはその制限がない。つまりは、育て続ければ最強の魔物になるということだ。それに加え寿命もない。


 しかし、問題はどうやってレベルをあげるのか、だ。冒険家が序盤によく見るスライム。あれは、レベルをあげようとして里の外に出ていった奴らで、知っての通り、秒殺される。


 僕は死にたくなかったから、20年もここに留まっていたわけだが、おととい、レベルをあげる方法を見つけてしまった。見ていてくれ。


「おーい。こっちに来てー」


 他のスライムたちに呼びかける。すると、1匹のスライムがよってきた。普通、スライムは言葉を話さないが、スライム同士では話が通じるらしい。


「なんだ?」


 この普通のスライムよりも若干潰れているスライムは、1度進化しているスライムだ。たぶん、『ベチスライム』なんて呼ばれていた気がする。


「レベル上げしたいんだ」


「なんだそんなことか。いいぜ」


 お互いに体を擦り合わせる。1度は見たことないだろうか? スライム同士が体を擦り合わせてじゃれあっている所を。そう、あれが実はレベル上げの儀式? だったのだ。


 チャリン。


 レベルが上がった。今のでLv11になった。Lv15で進化して今体を擦り合わせているこいつと同じ『ベチスライム』になる。


 種族『スライム』

 Lv11 ♂


 HP: 6 MP: 3


 進化まで後Lv4


 攻撃力: 2

 守備力: 3

 素早さ: 8

 魔法耐性: 2


 特技 無し


 スキル たいあたり


 称号 転生者・超晩成型



 今はざっとこんな感じだ。序盤で狩られるモンスターなのでLv11でもこの程度だろう。称号は、謎だがスライムの特徴と合致している。


 3日間かけてLv11になった。あと少しレベルをあげれば進化だ。対して強さは変わらないと思うが。


「今日はこんなもんでいいか?」


「大丈夫、ありがとう」


 そういうとベチスライムは離れていった。20年スライムとして生きてきて、やっとこの方法を見つけたのだ。遅すぎたけど、バカだった僕にしては上出来じゃないかな。


 レベルが上がることを知ってから木に『たいあたり』をするようになった。もしかしたらスキルレベルも上がるんじゃないかな?と思って。

 朝は体を擦ってレベルを上げ、夜はたいあたりでスキルレベルをあげようと頑張った。


 チャリン。


 お!? ついに来た?! 何度繰り返したか分からない。スライムは睡眠をとる必要が無いため言葉の通り一日中たいあたりをしまくった。それがついに身を結ぶ。


『スキルレベルが上がりました』


 今まで出たこと無かったけど、スキルレベルの時は出るのかな? まぁいい。早速ステータスを確認する。




 種族『スライム』

 Lv11 ♂


 進化まで後Lv4


 HP: 6 MP: 3


 攻撃力: 2

 守備力: 3

 素早さ: 8

 魔法耐性: 2


 特技 無し


 スキル たいあたり+1


 特殊技能 無限成長


 称号 転生者・超晩成型




 おっ、+1になってる。こんな感じで表示されるんだな。それに、『特殊技能』? 今無限成長が出たってことは、もしかしてスキルも無限にレベルを上げれるのか? すごいな。このままあげていけばたいあたりで無双できるんじゃないか?


 スキルレベルは上がりはめちゃくちゃ遅い。ひとつあげるのに3日間もかかってしまった。けど、20年止まっていた時間が動き出した気分だ。ワクワクしてきた。


 スライムが勇者を倒すなんて事になったら絶対人間たち驚くだろうな〜。そしてそのまま称えられたりしちゃって?


 妄想はこの辺にしておこう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る