第三転-おじショタ対決!負けたらチューなチュートリアル!?

【コロコロールドラゴン】


 青属性 HP100。


 ①神化(次のターンから下のコマンドを使用できる)

 ②ミス。

 ③ストーム(相手に20ダメージ)。

 ④ミス。

 ⑤ドラゴンラッシュ(相手に10ダメージ与えた後もう一度行動出来る)。

 ⑥ミス。



【ヒートファルコン】


 赤属性 HP100。


 ①神化(次のターンから下のコマンドを使用出来る)

 ②ミス。

 ③ファイヤーボール(相手に30ダメージ)

 ④ミス。

 ⑤ヒートエナジー(自分のHPを40回復する)

 ⑥神化(次のターンから下のコマンドを使用出来る)




「じゃあ始めるよ。コロコロ鉛筆のルールは簡単、自分の番が回ってきたら鉛筆を転がして出た目に従って行動して相手のHPをゼロにしたら勝ちだよ」



「おう。ミスってコマンドは文字通りハズレって意味だとして、この『神化』ってコマンドはなんなんだ?」



「神化コマンドが出ると次のターンから鉛筆の下に書かれたコマンドを選べるようになるんだよ。下のコマンドの方が強くなってるでしょ?」



「マジだ……じゃあ最初は上のコマンドしか使えないってことか」



「ニシシ……そういうこと」



「あともう一つだけ聞きたい」



「なに?」



「なんかお前のモンスターの方が……強くね?」



 俺のコロコロールドラゴンが6面ある内の3面がミスコマンドなのに対してましろのヒートファルコンはミスコマンドが2面だけだ。


 つまりコロコロールドラゴンは1/2の確率でしか行動出来ないということになる。



 それに技の威力も明らかにヒートファルコンの方が強い。素人目で見てもはっきりわかる。



「今時第一弾の鉛筆なんて使ってる奴なんていないよ。今はミスコマンドなんて2つ以下の鉛筆が基本だし」



「なにぃ!? 畜生! そんなのインチキ! インチキだ!!」



「でも約束は約束! 勝ったらオレとキスしてもらうかんな! そしてこれを規制事実にして今度こそおじさんをオレの物に……フフフフ……!」



「っ!?」



 背筋からゾワリとしたものすごい寒気が走ったぜ……。

 何が悲しくて野郎とチューなんてせにゃならんのだ。


 それに最後早口で聞こえなかったけどなんかましろの奴すごく恐ろしいこと口走ってなかったか……。


 これは何がなんでも勝たなければ……。



「まぁこっちも初心者でバトルキャップも持ちケシも持って無いクソザコ金欠おじさんに合わせて使わないで戦うんだからフェアってことで!」



「クソザコも金欠も余計だ!」










【TURN1】







「行くぞオラァァァァ!」


 

 コロコロコロ。


 ②ミス。



「いきなりミスかよォォォォ!」



「ニシシ……あれあれ〜? どうしたんでちゅか〜? 現実と同じく働かない感じでちゅか〜? 持ち主そっくりのクソザコ鉛筆でちゅね〜!」



「ま、まだまだこっからだ!」



「じゃあ次オレの番ね、コロコロール!」


 コロコロコロ。


「え? 何? コロコロールって?」



「一流のペンシリストは言わなきゃいけない決まりなんだよ!」



「…………プッ」



「な、なに笑ってんだよ!」



「いやーそれでも律儀に言っちゃうましろがピュアで可愛いなって」



「っ!? 何がピュアだよキモ! キーモ! おじさんのくせに!」



 一々頬を染めるな頬を。男だろお前。



「フン! 余裕ぶってられるのも今の内だからな!」



 ③ファイヤーボール(相手に30ダメージ)



「うっ!?」



 【コロコロールドラゴン】

 HP100−30HP70。



「これでコロコロールドラゴンのHPは残り70! 楽勝だね!」



「くっ……!」



【TURN2】






「オラァァァァァァ!」



 コロコロコロ。


 ③ストーム(相手に20ダメージ)。



「よしストームだ! 20ダメージをくらいな!」



 【ヒートファルコン】

 HP100−20HP80。



「へぇ……やるじゃん。じゃあ次オレの番ね、コロコロール!」



 コロコロコロ。



 ⑤ヒートエナジー(自分のHPを40回復する)



「嘘だろ……せっかくダメージ与えたのに!」


 【ヒートファルコン】

 HP80+40HP120。


「ニシシ……無駄な努力だったな」



 初期HPより増えちまったぞ。

 どうしろってんだよこんなの。



【TURN3】






「頼む……頼むぞ! それ!」


 コロコロコロ。


 ②ミス。



「アッハッハ! マジウケる! やっぱりおじさんはおじさんだな!」



「ヌォォォォォォォン!」



「コロコロール!」



 コロコロコロ。



 ⑥神化(次のターンから下のコマンドを使用出来る)



「よっしゃあ! 神化コマンドを引いた! これでヒートファルコンはゴッドブレイズファルコンに神化だ!」



【ゴッドブレイズファルコン】


 HP120+50HP170(神化するとHPが+50される)


 ① 超神化(対応するバトルキャップがある場合、超神化が出来る)

 ②ミス。

 ③マグマボール(相手に60ダメージ)

 ④ファルコンラッシュ(次の自分のターンに3回まで行動することが出来る)

 ⑤ブレイズエナジー(自分のHPを80回復する)

 ⑥ボルケーノハリケーン(相手に50ダメージ。以後自分のターンが来るたびに相手に20の追加ダメージを与える)



 め、めっちゃ強くなってるゥゥゥゥゥ!

 ミスコマンドが一つになった上もはや強いことしか書いてないぞ!

 マジでどうすんだこれ……メインウェポンのストームじゃ勝ち目がない!

 こうなったら俺も神化コマンドを引き当てるしかないぞ。

 大丈夫、俺だって一応主人公なんだ!こんな危機くらい自力で乗り越えて見せるぜ!



【TURN4】










「ふんぬぅー!」


 コロコロコロ。


 ⑥ミス。


「主人公補正どこいったァァァァァァァァ!?」



「これでオレの勝ちは確定的だね。もう降参しちゃえば?」



「やだ! まだお前がミス連発するっていう勝ち筋があるだろ!」



「やれやれ……これは夢見がちなおじさんにオレが現実を分からせる必要がありそうだな。行け! コロコロール!」


 コロコロコロ。



 ⑥ボルケーノハリケーン(相手に50ダメージ。以後自分のターンが来るたびに相手に20の追加ダメージを与える)



 【コロコロールドラゴン】

 HP70−50HP20。



「あ……あぁ……」



「はい勝確ー! これで次のオレのターンが来た瞬間ボルケーノハリケーンの効果で20ダメージ入ってオレの勝ちー!」



「ぐぬぬ……」



「せめて年上らしくリードさせてやるよ。ほら眼瞑っててやるから早く……キスしてよ」



 そういうとましろは目を閉じて餌を待つ小鳥のように口を突き出した。


 ませちゃいるが、どうやら恥ずかしいようでその頬が赤く染まっている。


 こうして見るとましろって可愛い顔してるよな。肌も綺麗だし顔の造形もいいし、初めてあった時はマジで女の子かと思ったからな。


 はぁ、せめてましろが女の子だったらなぁ……いや女の子でも男の子でも普通に犯罪じゃん俺の馬鹿!!



「まだ終わってないぜ……それとも勝負を放棄するか?」



「はぁ? もうおじさんの負けは確定じゃん。往生際が悪いよ」



「この⑤のドラゴンラッシュって技……10ダメージ与えた後もう一度行動できるって書いてるだろ? つまりこれを繰り返せば永遠にコロコロールドラゴンは攻撃し続けられるってことだ」



「プッ……アッハッハッハ! ちょ待って! 腹よじれる……アハハハハハハハ!」



「なに? なんか変なこと言った?」



「つくづく面白いおじさんだなぁ! そんなことできるわけないじゃん! ゴッドブレイズファルコンのHPは170もあるんだよ? 何回ドラゴンラッシュを出し続けるつもりだって話」



「計算上は最低でも17回は出さないと削りきれないわな」



「はいそんなの無理ー! 残念でしたー!」



「そいつはどうかな? 教えてやんよぉ! 神様はまだ俺を見捨てちゃいないってことをさ!」



『んーなになに? ワシのこと呼んだーー?』



「ちょっと神様頼みがあるんだけどさー」



『いつまでワシはジッとしとればいいんじゃ? まだ終わらんのか?』



「いいからいいから……実はな」



「何鉛筆に話しかけてんだよ、とうとう頭までおかしくなったのか?」



 神様の声はどういうわけかましろには聞こえてないらしい。

 つまり側から見たら俺は物言わぬ鉛筆にひたすら話しかけている頭のおかしい男(無職)というわけだ。泣けてくるぜ。



『あーなるほどのぅ。良いぞ、ずっと⑤と描かれた面を天井に向ければいいんじゃな』



 そうだ、手筈通り頼むぜ神様。



「行くぜオラァ!」



『ほい』



 コロコロコロ。



 ⑤ドラゴンラッシュ(相手に10ダメージ与えた後もう一度行動出来る)。



「よっしゃ! ドラゴンラッシュ! もっかい俺のターン!」



「ちっ、悪運の強いおじさんだな」



 【ゴッドブレイズファルコン】

 HP170−10HP160。


  

「そらァ!」



『そぉい』



 コロコロコロ。



 ⑤ドラゴンラッシュ(相手に10ダメージ与えた後もう一度行動出来る)。



【ゴッドブレイズファルコン】

 HP160 −10HP150。



「えっ……?」


 

「もういっちょう!」



『ほぉい』



 コロコロコロ。


 ⑤ドラゴンラッシュ(相手に10ダメージ与えた後もう一度行動出来る)。



 【ゴッドブレイズファルコン】

 HP150 −10HP140。



「さ、三連続でドラゴンラッシュッ!? 嘘だろ……こんなの!?」



「人生経験に乏しいボーヤに教えてやんよ! ってなぁ!」



『あはん』



 コロコロコロ。



 ⑥ミス。



「いぃっ!?」



「よっしゃ! これで今度こそオレの勝ちだな!」



『あっ、ミスった。よっこらしょっと』



 コロ。



 ⑤ドラゴンラッシュ(相手に10ダメージ与えた後もう一度行動出来る)。


 【ゴッドブレイズファルコン】

 HP140 −10HP130。



「ハァァァァァ!?」



「ほっ……こ、これでもう一回行動だな!」



「イイイインチキだ! ミスコマンドに止まった後に明らかに変な挙動しただろ今!」



「なんのことでちゅか〜? おじさんわからないでちゅちゅちゅ〜!」



 以後、神様のおかげでゴッドブレイズファルコンのHPが0になるまでドラゴンラッシュを連発し、見事勝利したのでしたとさ。


















「うぐぅ……なんでオレがおじさんなんかに負けるんだよぉ……」



「見たかましろ! これからはちゃんと俺を尊敬した上で過度なスキンシップを求めんじゃねーぞ! いいな?」



「ううううるさーーい!」



 ガバッッ!



「へっ?」



「そこ動くな! 無理矢理舌ねじ込んでキスしてやる!」



 どーも、18歳も年下のガキンチョに馬乗られた28歳(無職)です。



 たった今殺害予告を受けました。

 社会的に死にそうです、助けて。



「ちょ、ざけんな! 洒落になんねえってマジで!」



「暴れんなオラァ!」



「ギャァァァァァ! 許してェェェェェ!」


 
















『ふぅ、お茶が美味いのぉ……ズズズ』





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る