第16話

 どうやらソラシドは、なにかに没頭したいのだ


 ぼくがそのことに気がついたのは


 ソラシドが三五九八機目の紙飛行機を飛ばして


 なにも言わずに、ぶっ倒れた後だった


 そういえば彼女は、算数が下手くそだった


 順序だてて、理屈だてて


 物事を考えるのが苦手なのだ


 だから彼女は、ちゃんと思考に没頭したい時


 迷った時、困った時は


 こんな風に時間を止めて、ぶっ倒れるまで単純作業に打ち込み続ける


 思えばぼくは、ずっとそんな風に彼女の背中を見つめてきた


 なんでも願いが叶うくせに、不器用に悩み続ける背中を


 どうしようもなく、ただ見続けてきて


 ――ふと、彼女がいま抱えている悩みは


 本当に、自分の将来に関することなのかと 


 今さらぼくは、そんな風に疑問を持った

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