第9話

 ある日、いつものように昼休み


 屋上で、紙飛行機を飛ばすソラシドを見ていると


 いつまで経っても、チャイムが鳴らないことに気がついた


「時間が進まないようにしたから」って


 ソラシドは、どうやら天使にそんなお願いしたらしい


 まぁ、そんなこともあるさとぼくは思った


 けれどソラシドが、どうしてそんな願いを捧げたのか


 ぼくにはなんだか、よく分からない


「ねぇ、君は将来なにになるか、決めた?」


 と、突然ソラシドがたずねてきたけど


 将来なんて考えたことも無かったので


 ぼくの答えに、ソラシドは


 小さくて綺麗なため息を吐いた


「じゃあ私と同じだ」


 そう呟くと、ソラシドはまた


 ひとつひとつ、丁寧に紙飛行機を折りはじめる

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