第8話
なんの変哲もない高校生活が、二年ほど過ぎた頃
ソラシドは、よく屋上で紙飛行機を飛ばすようになった
どこまでも飛んでいきますように、と願いを込めると
実際に紙飛行機はどこまでも
どこまでも、飛んでいくのだ
そうして一つ、地平線の向こうに吸い込まれると
彼女はまた一つ、新しく紙飛行機を折っては
願いを込めて、飛ばすのだ
そこにどんな意味が込められているのか、分からない
けれど、もしブラジルあたりで彼女の作った飛行機が
いまもなお、飛び続けているのかと思うと
色んなことが他人事のように思えて
ちょっとだけ、おかしかった
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