第4話

 次に、彼女が捧げたお願いは


 おそらく苗字を失くすこと


 ソラシドは自分の苗字を、あまり好きじゃないみたいだったから


 それがもう、どんな苗字だったか思い出せないけれど


「可愛い名前になったでしょう」と


 ソラシドが、自慢げに胸を張っていたことは


 昨日のことのように、思いだせる


 彼女の肩には天使が乗っていて


 ただ、穏やかに微笑んでいた


 残念だけれど、仕方の無いことだった


 無くなったものはもう、戻ってこないのだし


 ソラシドの名前がなんであれ


 ぼくの幼なじみであることに変わりはないのだし


 彼女が気に入っているなら、それでいいと


 そんな風に、思うことにした

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