第3話

「これからもずっと一緒にいようね」と


 ソラシドは、眩しい笑顔でそう言った


 橙光晶カーネリアンの色に揺らめく髪が、


 夕焼けの黄昏色にきらきら反射していて、


 とても綺麗だったことを覚えている


 それがいつの頃だったか、もう、はっきりと思いだせない


 けれどそれは、確かにあった思い出で


 あまりにも幼い約束で


 時間が経っていくにつれ


 少しずつ色褪せていくような


 どこにでもありふれた約束だった


 だけど、天使は耳を澄ませて


 ソラシドの幼い願いをこっそりと


 真剣に、聞き届けたに違いない


 それは彼女にとって初めての


 天使に捧げた「お願い」になったのだ

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