第5話

 ぼくたちが小学生になってからも


 天使は次々に、ソラシドの願いを叶えていった


 算数が苦手なソラシドは


 テストでいつも百点を取っていて


 楽しみにしていた遠足は、いつも当然のように晴れ


 運動会は、六年連続で中止になった


 ぼくとソラシドは六年間、ずっと同じクラスの隣の席で


 それはとても、いいことだったけれど


 二人そろって同級生たちの


 標的になったことは、言うまでもない


 子供は、出る杭を打つのが大好きだから


 なにかと優秀なソラシドを、快く思わない気持ちも分かるし


 ついでにぼくも暴力を被る羽目になったのは


 ある意味で自然というか、当然のことだった


 ソラシドの天使が、そんな彼らを許さないのも


 またある意味で自然というか、当然のことだった


 気が付けば、ソラシドとぼくを虐めるような奴は


 みんなどこかに、転校してしまった


 多い時は、数週間に一度くらい


 クラスメイトの送別会があったけれど


 そういう明らかに不自然な力が


 なにもかも、彼女の願いによって


 天使の仕業によって、引き起こされていることは


 幼なじみの、僕だけが知っていることだった


 ただ、ソラシドがいつも笑顔でいてくれたので


 ぼくとしては、それでよかった


 ぼくたちの小学時代は、そのようにして過ぎていった

 

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