第6話

 中学生になっても、相変わらずの日々だった


 ぼくたちは、やっぱり同じクラスの隣の席で


 ソラシドは、いつもテストで百点を取っていた


 しかし中学時代の彼女は、さらに過激だった


 体育祭、音楽祭、絵画のコンクール


 それが優劣を競うものであれば、なんであれ


 ソラシドは「類まれなる才能」とやらを発揮して


 容赦なく他人を蹴落としていった


 この頃ほど、彼女が一番に執着していた時はない


 もはやあらゆる事象において


 ソラシドが一番であることは、暗黙の了解になっていた


 それでも彼女は一等賞を獲るたびに


 ぼくへの報告を、欠かさなかった


「すごいでしょ?」と自慢げに微笑んだ肩のうえで


 天使も、同じようにふわふわと微笑んでいた


 ぼくはソラシドの、小さな頭をそっと撫でながら、


 この九年間で、一体どれだけの願いを叶えたんだろうと


 ぼんやりと、そんなことを尋ねようと思ったけれど


 結局、訊かないでおくことにした


 叶えた願いの数なんて


 彼女だってもう、覚えていないのだ


 ぼくにだってもう、分からない


 きっと、天使だけが知っている


 

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