しかして、私の咲かせる星は

 夢は何ですか、なんて、耳にざらつくからやめてほしい。ゆめはなんですか、ゆめはなんですか、ゆめはなんですか。そんなの、呪いだよ。ああだからもうこれ以上、お願い、わたしを責めないで。夢だなんてとろとろの薬品を飲ませないで。それ、わたしにとっちゃ毒なのだから。

 夢をもたなきゃ、いけない?

 わたしは、壊れても、夢をもたなきゃいけない?

 ねえ知ってる? アイドルって、偶像って意味なんだよ。だからわたしが目指していたのは、なんだしょせんは偶像だったのだね。ああおかしいね。わたしってば、ばかみたいで、そうやってけらけら笑っているうちにつまんなくなって、ほんとに馬鹿になっちゃったのだから、ね。


 星を咲かせる、と表現したかつての友人。星は咲くもんじゃないよなんて常識を言えばあの子はよろこぶ。百合のような子だったなあ。きれいなようでいてグロテスクなの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る