(二)‐20

 葬儀社の方の一人が受付の記帳台として使っていた事務机の脚を折りたたんで近所に駐めてある車に積むために持って行こうとしたときに、「もうだめですか」と言って小学生くらいの女児を連れた女性が現れたのだった。

 そうしてリビングに案内されてきた親子は焼香を済ませると、母と妹と俺に正座のまま礼をした。

「本当はこうして伺うのは止めた方がいいと思ったのですが……」

 そう静かに切り出した女性は桂瀬夏織と名乗った。実は以前、川居信金に勤めていたという。さらに、「私、合川さんに愛されていました」と告白した。


(続く)

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