第124話 知っていた者②

どこでどう、その話がなされたのか、僕らは知らない。ただそれからしばらくして愛斗は、まるでそれがもともとそうあるべきであったかの様に、菅原家の住民となった。

 あれ程までに洋子の意見に反対していた菅ちゃんは、(そうだ…、一体この時期、菅ちゃんはどの様に過ごしどう感じていたのだろう?)まるでそれが定められていたかの様に愛斗を受け入れた。今となっては、もう僕らにはその訳を知るよしもない。

 …ただ…。愛斗に走り寄って彼を抱きしめ、「やっと会えたね」と愛斗に語りかけて泣き崩れる洋子を、彼は静かに見ていた。そして

ゆっくりと二人に歩み寄ると二人を胸に抱き寄せながら、僕に深々と頭を下げた。

 それで充分だった。僕と真奈美は、これでこれからも生きていけると…僕たちは充分すぎる程確信していた。

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