第123話 知っていた者①
「それで私は会えるのでしょうか?」
ノックも無しにいきなり部屋に現れた洋子に僕はびくりと驚いたが、シスターは軽く頭を下げてこう答えた。
「貴方の準備ができていらっしゃるのであればいつでも…。」
と。
小さく首を振りながらシスターと洋子に続く菅ちゃん。何かに怖気づいた(本当は何に恐れを抱いていたかは、今となれば説明がつくのだが)真奈美と僕は、まるで鎖に繋がれた囚人の様に規則正しく列をなして、あの例の場所へと歩を進めた。
「申し訳ありませんが、私は今日、貴方様がいらっしゃる事を愛斗君には知らせておりません。」
シスター飯島は、廊下に貼ってあるテープの、それがブルーからグレイへと変わる所で静かに止まった。そして「どうぞ」と扉に向かって手を向けた。
「神の御心(みこころ)のままに…」
洋子が重い扉を開ける。洋子の肩越しに見える広いホールの真ん中に、なぜだろう、写真集を抱えた愛斗がポツンと立ってこちらを見ていた。
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