第54話 仲人⑬

「君たちがここに来たのは、多分、例のてるてる坊主の件だろうが、まぁ私の話も聞いてくれないか。

さぁ…。どこから話を始めていいものか…。まぁ、昨夜のてるてる坊主の件までは、君達が真奈美君から聞きだした通りだろう。私からは、その後の話を聞いてもらおうかな。

昨日は明け方までの酒の席のせいで、私が家に帰った時は家内も子供も眠っていてね。いやぁ、私も久しぶりにしこたま酒を飲んでいたものだから、昨日は軽くシャワーを浴びて、そのまま寝てしまったのだよ。

朝起きてリビングに行くと、いつもの様に、家内と娘がテーブルで食事をしていてね。軽く挨拶をして私も食事を始めたんだが、暫くすると、家内が急に噴き出してね。私の顔を見て、ケラケラと笑うんだよ。それを見た娘も又、私の顔を見て大きな声で、キャーキャー笑い出してな。娘は高校生で、まぁ、年いって出来た娘でもあるから、私としては可愛くて仕方がないのだが、最近は年頃なのか全く目も合わせず会話もなくてね。その娘が、私の顔を見て、涙を流しながら笑っているのだよ。「パパ、その顔どうしたの?」って。あわてて立ち上がって鏡を見ると、あの例の、てるてる坊主が、にっこりとほほ笑んでいた訳だよ。真奈美君にいわせると「苦虫をかみつぶした様」な私の顔で、てるてる坊主が笑っている。私もついつい噴き出してね。3人で腹をかかえて笑ったよ。家内も娘も、誰が私にそんな事をしたのかとても興味津々でね。私は昨日の真奈美君の事を、じっくりと二人に話してあげたんだ。特に娘は、真奈美君と僕の会話が面白かったらしく、「こんなにゆっくりしていて、学校は大丈夫なのか?」と私が聞くと、「少しぐらい遅れても平気よ。」だとさ。

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