第13話
今日は初めて、冒険者ギルドで依頼を受けてみたいと思いますわ。
今までは、自分で適当に倒したモンスターをギルドで換金して貰っていたんですが、お姉様から依頼をこなした方が、効率が良い、という貴重な情報をいただきましたので、これは実践するしかない、ですわ!
「あ、あのー。依頼を受けるにはどうしたらいいんですの?」
そういえば私は依頼の受け方まではお姉様に聞いてなかったと思い、思い切って受付の人に聞いてみましたわ。なんでもかんでも人に聞くのはよくないとお姉様がおしゃってたのですが、ここはゲームだし、良いですわよね?
私がそうやって尋ねると受付の方はニッコリと笑みを浮かべて丁寧に説明してくださいました。
「はい、あちら側にあります掲示板に様々な依頼が貼付されております。その中で自分のランク以下の中から自分の好きな依頼を引き剥がし、こちらに持ってきてくださると依頼の受注が完了されます。よかったら今、一つ受けてみますか?」
「は、はいっ!」
受付の方にそう聞かれて思わず返事をしてしまいましたわ。何も後ろめたいことはないのですが、子供でもないのに大人に背中を押してもらったこの状況はなんだか恥ずかしいですわね。
すぐさま依頼の受注に慣れて独り立ちしなければなりませんわね!
早速教わった掲示板の前までやってくると、そこにはびっしりと沢山の依頼が貼り出されており、また、その前にはたくさんのプレイヤーがひしめき合っていましたわ。
その中にズカズカと入っていく勇気が持てず、遠巻きからみていると、私はあることに気がつきましたわ。
皆さん、誰も掲示板から直接依頼を剥がしていないのです!
気がつけば人が減ったり増えたりしていますの。そして、この場から離れる人は皆、手に紙を持っているのです。一体、どうやっているのでしょうか……?
「はっ!」
私、天才かも、ですわ! もし物理的にしか依頼を受けられないようになってしまっては、私のか弱い女の子はもちろん、誰かが不当に占拠して依頼を独占する、なんて事態も発生するかもしれませんわね。
もしそうなってもギルドの方がどうにかしてくれるとは思いますが、そう言った事態を未然に防ぎ、プレイヤー達に広く公平に依頼を受注させる為には物理的障害を取り払わなければなりません!
つまり、ある程度近づけば……
ピロン
そう、こんな風に現在受注可能な依頼を見ることができて、その依頼を確保することが可能、なんですわ!
「ふっ、ふっ、ふー」
私ってばやればできる子、ですわね!
「あ、あのー」
「ひゃっ、はい?」
「もう依頼を受け終わったなら退いて貰っても良いですか? 人が多いのでどうしてもスペースが……」
「ご、ごめんさい、ですわー!」
私は恥ずかしさも相待って急いでその場を離れましたわ。そして、私はある重大なことに気がつきましたの。
「依頼、まだ受けてません、、、ですわ」
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