第11話
「ここが冒険者ギルド……ですわね」
目的地に到達しますと、そこは大きな建物が聳え立っていましたわ。
現実でもこのクラスの建物でビルじゃないものとなると、寺院や遺跡かパパのご友人の別荘くらいしか思い当たりませんわね。
これよりも一回りほど小さかったら私たちの家くらいにはなるのですが、さすがゲームの世界、と言ったところでわね。とても楽しみですわ!
中に入ると物凄い長蛇の列が出来上がっていましたわ。銀行や郵便局のように受付がいくつかあるのですが、発券機もなければ、順番が来たら知らせてくれる通知機もないんですわね。
このゲームは変なところが不便ですわね。まあ、そこが味だと言われればどうしようもないですけど。……難しい世界ですわね。
「次の方どうぞー!」
あ、私の順番がきましたわね。ここは失礼のないように、ですわ。
「本日はどういったご用件で?」
「はい、今日は冒険者登録をしにきましたわ!」
「え、そんなに可愛らしいのに冒険者を志望で? あ、す、すみません! 失礼いたしました、では手続きを進めさせてもらいますね。こちらにお名前と年齢、自分の得意武器をご記入ください」
「ふふふ、お世辞が上手ですわね。何か書くものをいただけませんか? ですわ」
「は、はい! こちらをどうぞ!」
見た目は私と同い年くらいに見えるのに、お世辞も言えてちゃんと仕事をこなせるなんてすごいですわね。少し緊張しているようですから、まだ仕事を始めて日が浅いのでしょうか? もしそうなら尚更すごいですわね!
因みに、こういった書類の記入は、念じるだけでもいいし、予め登録しておいたものでもできるそうですわ。もちろん、お姉様からの情報ですわ。
でも、私は文字を書くのが好きですの、だから手書きでやらせてもらいますわ。
「うわー字がお綺麗なんですねー」
受付の方がそう言ってくださいましたわ。これはお世辞でも嬉しいですわね。字を褒められて悪い気は致しませんもの。
えーっと、名前はイチゴで、年齢は十七、武器は……杖と書いたら杖で殴って戦うのか、と思われそうなので、今まで使ってきた水魔法と書きましょう。これで間違いないですわね。
「これで、お願いします、ですわ!」
「ありがとうございます。でしたら今から冒険者ギルドのギルドカードを制作いたします。紛失されたり破損されたりした場合は、再発行にお金がかかりますのでご注意ください。では、こちらがカードになります」
「これが、私のギルドカード……」
これから私の冒険者ライフが幕を開けるのですわね! 張り切っていく、ですわ!
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受付って難しい……
女性の言葉遣いって難しい……
こうした方が良い、と言うのがありましたらお知らせくださいm(_ _)m
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