第5話


 お姉さまからの誘いはもちろん受けましたわ。ただ、その日の夕食は人生で一番ソワソワとワクワクで全然集中できませんし、その日の夜も何を着て行こうか迷いに迷って、全然寝付けませんでしたのよ。


 それでも、その日はやって来たんですわ。


「お姉さま!」


 お姉さまは少し用事があると言って先に家を出ていらしたわ。だから集合場所に別々に向かうことになったんですの。そして、その集合場所にいたおねえさまは、


「……とっても綺麗ですわ」


 いつもとは雰囲気の違うお姉さまがいましたわ。いつも下ろしている髪は可愛く結ばれていますし、その上には大きな帽子、これもまたとっても似合っていますの。そして黒のオフショルダーにハイウエストのデニム、もう全てが完璧に合っていますわ。そして暗めの色に映えるように履いている赤のパンプスも絶妙に合っていますわ。


「目立ちすぎず、それでも綺麗で華がある、そんなコーデですわね! 流石お姉さまですわっ!」


「ふふふっ、ありがとうイチゴ。しっかり準備した甲斐があったわね。イチゴも水色のワンピ、凄く似合ってるわよ」


「あ、ありがとうございます……ですわ!」


 お姉さまから褒められましたわ! 昨日寝らずに考えた甲斐がありましたわ!


「ただ、イチゴ、睡眠時間はしっかりとらなきゃダメよ? 睡眠不足は女の敵なんだから」


 あ、バレてますわ。流石お姉さまですわ。


「ごめんなさい、ですわ……」


「ふふふっ、楽しみで寝れなかったんでしょ? たまにはいいのよ。でも。折角のデートが眠いのは嫌でしょ?」


「ね、眠くありませんわ!」


「ふふふっ、なら安心ね。それじゃ、いきましょうか。外は暑いし、中でランチでもしながら軽くお話でもしましょう」


 そう言ってお姉さまは私を、見るからに高そうな高級レストランに連れて行ってくれましたわ。メニューに値段が載っていないなんて、ズルイですわ! これじゃあ、とっても高い食事を頼むかもしれませんわ。


「ふふっ、好きなものを頼んでいいのよ? 私はお金に困っていないし、イチゴにも好きなものを食べて欲しいもの、遠慮せずに頼んでいいわよ。ほら、イチゴが好きな海老の料理もあるわよ?」


 お姉さまはこんな私にすら気を遣ってくれる、本当に素晴らしいお方ですわ。私が好きな食べ物が海老ってことまで知ってくれているなんて感激ですわ。


 そして、お料理だついに届きましたわ!


「わー、とっても美味しそうですわ!!」


「ふふっ、たくさん食べるのよ?」


「はい! ですわ!」


 こんな高いレストランに来ること自体久しぶりですの。だから作法やマナーが不安ですが、お姉さまなら許してくれるはずですわ。今回ばかりは甘えちゃいますの!


「ふふ、本当に可愛いわね。今日は折角姉妹水入らずなんだから、いろいろお話しましょう? イチゴのお話聞きたいわ」


 お姉さまがそんなことを言ってくれましたから、たくさんお話ししすぎましたわ。学校のことや家でのこと、習い事のこととかたくさんお話しできましたわ。それこそ昨日のゲームの話もしましたわ。


 ただ、あの後ひたすらホーンラビットを倒し続けていましたのと言ったら、お姉さまが笑っていましたわ。そして称号も獲得したんですわと言ったら、すごいわね! って褒めてくれましたの! いろんなお姉さまが見れて幸せですわ。


「ふう、お腹いっぱいですわ」


 沢山食べましたわ。コース料理になっていましたが、前菜からデザートまで全て美味しかったですわ。こんな良いお店を知っていて、私を連れて来てくれるお姉さまは本当に素敵ですわ!


「気に入ってくれたなら、私も嬉しいわ。次は二人でショッピングでもしましょう」


「ショッピング、ですの!?」


「えぇ。久しぶりにイチゴのコーデを私が決めてあげるわよ?」


「ほ、本当ですの!?」


 こ、これは夢ではありませんの? お姉さまからコーデしてもらえるなんて……


 お姉さまはモデルとしても一流で、とってもファンがいるんですのよ? そんなお姉さまを独り占めするだけでなく、コーデまでしてもらえるなんて私はとんだ幸せ者ですわ! 幸せすぎて夢でも見てるようですわ。


「もちろん本当よ? 早速いきましょう」


 そうしてお姉さまと一緒に幾つかのお店に行きましたわ。そのお店のどれもが私一人では決して行かないようなものばかりでしたわ。それに、お姉さまも私のために真剣に考えてくださっていて、私は舞い上がりそうでしたわ。


 そして遂に私のために全身コーデをプレゼントしてくれましたわ。


「とっても可愛いですわ! 一生大切にしますわ!」


「ふふふっ、一生は言い過ぎよ。でも、喜んでくれて嬉しいわ。次はイチゴの行きたいところに行きましょう。どこか行きたいところはある?」


「行きたいとこですの? そ、それなら、タピオカをお姉さまと一緒に飲みたいですわ!」


「タピオカ? ふふ、可愛いわね。やっぱりイチゴも女の子ね。分かったわ、一緒にいきましょう」


 お姉さまは優しいですわ。一瞬驚いていましたが、すぐに快諾してくれるなんて流石ですわ。


 タピオカは今流行の飲み物で最近よく私も飲んでいますわ。とっても美味しいんですの。だから、その美味しさをお姉さまに伝えるんですわ。


「あら、この飲み物、面白いし美味しいわね。こんな素敵なもの紹介してくれてありがとう、イチゴ」


「そんなことないですわ! お口にあったようで良かったですわ!」


 私はお姉さまに喜んでもらえるよう必死で、自分の分を買い忘れちゃいましたわ。行列があるから買い直せませんから諦めるしかありませんわ。まあ、私なんていつでも飲めますし、お姉さまが喜んでくれたらそれでいいんですわ。



 そんな夢のような時間はあっという間にすぎて行きましたわ。楽しければ楽しいほど時が進むのが早くなるなんて、残酷ですわ。逆であったら、人生とてもハッピーですのにね。


「今日はとっても楽しかったわ、ありがとうイチゴ。またデートしましょうね」


「こちらこそですわ! 今日はとっても楽しかったし、幸せでしたわ! 今日一日ありがとうございました、ですわ!」


 今日はぐっすり眠れそうですわ。







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