第2話


「ゲームをする、ですの……?」


「そうなの。最近ハマっているゲームがあって、それをイチゴにもして欲しいなーって思ったの」


「お、お姉さまの為にならなんだってやりますわよ! それに、お姉さまがハマっているものなんて私も気になりますわ!」


 お姉さまがハマっているものにはなんでも興味がありますの。そして気づいたら私もハマっていることが多いですわね。お姉さまが使っているものや、ハマっているものは素晴らしいものばかりで、私も使いたくなるんですの。


 ま、まあ、お姉さまと一緒になりたいっていう気持ちもなくはないのですが、それは仕方のないことですの!


 ゲームやその他諸々の手配はお姉さまがやってくれるということで、私はその到着を楽しみにしていましたわ。ゲームについても粗方勉強しましたし、予習はバッチリですの。


 このゲームはかなりの人気ゲームらしく、準備に時間がかかるそうですわ。それを聞いたら絶望しかけましたが、お姉さまと一緒の世界に行く為には仕方がないことだと割り切って、予習やシュミレーションを沢山しましたの。


 学校の授業中も上の空になってしまって、危うく先生からは怒られそうになるし、女の子の友達からは笑われちゃいましたわ。


 それでも、お姉さまと久しぶりに遊べることが嬉しすぎて全く気になりませんでしたわ。私にはお姉さまが味方してくれているようで、とても心強いんですのよ。


 そして待つこと一ヶ月、漸く私の元にゲームが届きましたの。私は嬉しくて飛び跳ねそうになりましたが、なんとか堪えて自室に運びましたわ。ゲーム機は頭をすっぽりと覆うようなヘルメット型になっていて、寝た状態でゲームをプレイしていく感じらしいですわ。


 始める為には電源を入れて、特定の言葉を発すれば開始されるらしいですわ。では早速、


「ゲームスタート」


 うっ、目が眩みむ程の真っ白な空間ですわね。確か、この空間が白いのは理由があって、視覚調整を行っているそうですの。白に見える様にする事で視覚障害があっても楽しめるのだとか。


 そもそも、脳に直接信号を送ることができるから、目が見えない方でも楽しめるということで、注目されているらしいですわ。目が不自由な方は日常生活では少し大きめのゴーグルをつけないといけませんの。


 それで、何の支障も無く見えるんですけど、その分、肩に疲労が溜まってしまいますの。特にご老人は体も弱ってきていますので、かなりの負担らしく、それから解放されるVR空間というのはなかなか居心地がいいらしいですわよ。


「ようこそ『numerous star online』へ! 早速お名前をお伺いしてもよろしいですか?」


 どこかから声が聞こえてきますわ。これも予習の段階で勉強していましたから、知ってはいますけど、どうしてもびっくりしちゃいますわ。


 私の名前は勿論、イチゴにするわ。お姉さまが呼んで下さっている大切な名前ですもの、これ以外考えられませんわ!


「イチゴでお願いしますわ!」


「イチゴ様ですね、では容姿を設定します」


 謎の声がそういうと、目の前に私が現れましたわ。見た目に関してはいじる必要はないですの。どうせ、私の周りでこんなゲームをするような人はいませんですし、バレたところでお構いなしですわ。


「このままでいいですわ」


「このままで本当に決定しますか? ゲーム開始後は変更することができません、ご注意ください」


 んー、そんなことを言われたら少し悩みますわね。でも、いいですわ、早く始めたいんですの。


「ええ、いいですわよ」


「わかりました。では、次に種族を決定します」


 これはもう、予習の時にすでに決めてありますわ。といっても、一番無難なヒューマンですけどね。お姉さまもヒューマンですし、これしかないですわ!


「種族を決定されましたので、次はステータス設定です。各ステータスについての説明を聞きますか?」


 これについても予習はバッチリですわ。ちゃんと勉強しましたから、初期設定の内容は全部頭に入っていますの。


「結構ですわ」


「わかりました。ではステータス50ポイントが付与されます、自由に割り振って下さい」


 このステータスについても予習の段階でしっかりと吟味していますの。


HP 120/120

MP 200/200

STR:1

INT:25

AGI:10

DEX:10

VIT:1

LUK:5


 これで完璧ですわ! 私のプレイスタイルは魔法使いですわ。これもお姉さまと一緒ですの! ステータスは自分で考えたんですのよ、この塩梅なら間違いないですわ。


「ステータスを決定しますか?」


「はい、ですわ」


「ステータスを決定しました。では、この世界の説明をします。説明を聞きますか?」


 勿論これも予習済みですの。楽しみすぎて何度も読み返しましたわ。


「では、『numerous star online』の世界をお楽しみください。あなたの冒険が輝かしいものになることを願います」


 これで、遂に、遂に私のゲームが始まりますわ! 早く頑張って、お姉さまに追いつかないといけませんわね!







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