第4話


「さてと・・・」

彼女の父が、机の上にあった手紙を、僕に渡す。


「○○くん、ここに事の真相が書いてあります。」

それを、おじきをして受け取る。


「ですが、娘の口から聞いたほうがいいでしょう」

彼女の父は、モンシロチョウに眼をやる。


「そろそろ、姿を現せ。我が娘、さくらよ」


すると、モンシロチョウは、僕の知っているあの女の子に姿になった。

でも、さくらと言うのは、初めて知った。


「ありがとう。来てくれたんだね。○○くん」

「約束だからね」

「なら、事の真相を話すね」


単刀直入だな。

まあ、助かるが・・・


「もう気付いていると思うけど、私たちは人間ではないわ」

「妖精とか、言わないよ…ね」

「ビンゴ」


妖精なんですか・・・

安易だな・・・


「でも、蝶の妖精なんて、ベタだな」

「ほっといて」


妖精というと、蝶の羽の生えた小人を連想するが、そのまんまですか。


「私の死はね、自然死なの」

「自然死?」

「うん。寿命よ。ただの・・・」


さくらさんは、笑みを浮かべる。


「でも、ご両親は元気だね」

「私と、パパとママは蝶の種類が違うからね」

「蝶も、種類によって寿命が違うんだ」

「うん。勉強になったね」


褒められてるのか?


「ちなみにご両親は、何の蝶の化身?」

「お父さんがアゲハで、お母さんがオオムラサキ」

「そのふたつは、嫌いと言ってなかった?さくらさん」

「ただの、反抗期」


反抗期って・・・

あっ、照れ隠しか・・・


「私ね、人間の姿としての寿命は終わったけど、妖精としての寿命はまだ終わってないんだ」

「なら、その姿は?」

「わかりやすく言うと、クローンみたいなものかな」


いえ、わかりにくいです。


「私たち家族の役目は、死者の魂をあの世へと誘うこと。そのために、ここに来た」

「なぜ、ここに来たの?」

素朴な疑問を伝えた。


さくらさん・・・そして、ご両親は口を揃えて、その事実を伝えた。


≪○○くん、この町はもうじき崩壊します≫

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