第2話 霧の先
「え!? なんで急に霧が!?」
突然辺り一面に霧が発生し、ナツキは戸惑ってしまう。
「霧ってこんな晴天な天気な日に発生したっけ……てっ、え!? 貴女は誰!?」
霧により戸惑う最中、目の前に女性が現れた非現実にナツキは驚きを隠せない。 その女性は少し透けており、髪型は長髪で白い服を着て前髪は顔全体を覆うほど長いために表情は読み取れない。突如現れたその女性は、ナツキに運命が貴方に襲い掛かってきますと言い返してきた。
「突然現れて突然運命が襲ってくるって言われても、何がなんだが解らないよ!」
ナツキは何を突然言っているのだと思ったが、女性が続けざまに地面に立ち一回指をならす。 女性が指を鳴らした音と共にナツキの足元に魔法陣が出現する。
「なんだ!? 一体何をしたんだ!!」
ナツキは突然現れた魔法陣に驚き、目の前の女性の正体も一向に判明もしないので、頭がパンクしそうになっていた。
「貴方はこれから過酷な運命に襲われるでしょう」
ナツキは女性に罵声を浴びせるが、魔法陣が形成されてしまい一歩も動けなかった。 そして呟いた瞬間、目の前を眩い光が覆いナツキが動けないことを確認した女性は再度宙に浮かぶ。 そしてその場から逃げようとするナツキに一言告げる。
「これより貴方は、自身の運命とこの世界の命運を託されます。 しかしそれに抗うか抗わないかは貴方自身に任せます」
(運命と命運って……なんで俺なんだよ……運命なんていきなり言われても理解出来るはずないじゃないか!)
宙に浮かぶ女性は、何か呪文を唱えた後にその場から消えさった。
「いきなり現れて消えるなよ!」
そう叫ぶと、足元にあった魔法陣が突然輝き始める。
(くっ……眩しい……どうなっちまうんだ……)
もう何もかも諦めたとい表情でナツキは魔法陣に飲み込まれていく。 飲み込まれたも束の間、一瞬でナツキは白い空間に魔法陣から出てきた。
「この白い空間なんなんだ……」
ナツキは魔方陣に吸い込まれた時からこの白い空間に漂っている。 なぜここにいるのか、ナツキは考え始める。
「不思議だ……真っ白い空間が永遠と続いているみたいだ」
呟きながらナツキは、当てもなく歩き続ける。
(ここは一体どこなんだ? この白い空間はなんなんだ……)
考えながら歩いていると、どこからか声が聞こえてくる。
「君には新しい世界である運命と戦ってもらう」
その声は続けて話す。
「君はその為だけに地球から消えてもらった」
突然の声に驚くが、さっきの女性もそうだが、一方的に決められることに対して怒りが込み上げて来ていた。
「おい! いきなりなんだよそれは! 運命と戦うってなんだよ!」
ナツキは辺りを見渡すが、声の主はどこにも見えない。
「今は知らなくていい……そのうち理解するだろう……」
その言葉を最後に謎の言葉は聞こえなくなった。
「俺に一体何が起こっているんだ……」
ナツキはいきなり不安になり始め、その場に頭を抱えて蹲ってしまった。
「これからどうしよう……」
ナツキが呟いた瞬間、目の前を眩い光が覆う。
「くっ! なんだ……!?」
次に目を開けた時には、周りをローブを着た同い年くらいの人が沢山いた。
(いきなり、白いあの空間から移動したのか?)
「なんだよ……これは……」
ナツキが喋ると、目の前に一人の女の子が歩いてくる。
「君が私の声に答えてくれたの?」
少し緊張した声で話しかけてきた。
(え……声? この子の声とは似てないし、答えてないけど……いったいどうすればいいんだ……)
「えっと……そ、そうだよ!」
(どう答えても不安しかねぇ……嘘で乗り切ろう!)
ナツキの目の前に現れた少女はピンクの髪をしていた。 背中にかかるくらいの長さをしていて綺麗な髪をしている。 ナツキが少女のことを考えていると突如周りの男子が笑いながら指をさしてくる。
「あっはははは! 聞いたかお前ら! 万年平凡のあの女が人間を召喚したぞ!!」
嘲った男を最初に全員笑い始めた。
「万年平凡の夕凪愛理さんらしい使い魔だな!」
黒い髪の肩まで長さがある、少し偉そうな男が愛理に話しかけた。「いきなり何よ! 別に私が誰を召喚してもいいでしょ!!」
愛理はナツキが貶されると思い、話しかけてきた黒髪の道原雪道に突っかかる。
「人の使い魔をいきなり笑うってどういう了見してるの?」
愛理は雪道の眼前に迫り、睨みつける。
「あぁ……ごめんよー平凡な愛理君がまさか人を召喚するとは思わなくてね」
雪道はさらに笑いながら言う。
「普通召喚の儀では、幻獣や悪魔、天使などの人類とは違う生物を召喚するものだろ?」
「それが君と言ったら、同じ人類を召喚と来た……」
手を開いて周りの人を仰ぎ言う。
「これはもう笑うしかないだろ! なぁ皆!」
周囲から笑いが起こり、中には愛理に指を指し爆笑している者もいる。
「……くっ! それがどうしたのよ!!」
愛理が言い返そうとしたとき、誰かが肩を掴んだ。
「やめときな愛理。 あいつにこれ以上関わる必要はないよ!」
愛理に話しかけたのは、愛理の友人である春風奈々である。
「奈々……なんで止めるの!」
奈々に詰め寄る愛理だが、奈々がため息をついて言う。
「はぁ……いつものことでしょ? 放っておきなよ。 それに、召喚した使い魔さんが呆然としてるよ?」
奈々はナツキを指さして呆れた顔をし、愛理はナツキに近寄り話しかけ始める。
「放っていてごめんね。 あなたの名前はなんていうの?」
ナツキはいきなり話しかけられ驚いたが、すぐ平静を取り戻す。
「あ、え、あ……お、俺は天王寺ナツキと言います」
ナツキはきょろきょろと周りを見渡し、ここが自分の知らないもので埋め尽くされていることを知った。
「なぁ、ここってどこなんだ? いきなり魔方陣みたいなものに吸い込まれて来たんだけど……」
ナツキが話したその言葉を聞いた瞬間、愛理がなぜか納得した顔をした。
「やっぱり貴方が私の使い魔なんだ……」
愛理は突然悩ましい顔になる。
「人間が使い魔なんて聞いたことないよ……」
しかめっ面になる愛理、しかしそこに教師らしき男が近づいてくる。
「愛理さん、そんなに落ち込まないで。 前例がないからと言って別に悪いことではありませんよ」
愛理に話しかけた男は、スーツを着ていてどこか知的な雰囲気があった。
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