魔法の溢れる世界で~落ちこぼれの美少女と共に魔法の世界で生き抜きます~

天羽睦月

第1話 翻弄される運命

見慣れた人気の人通りの多い街に一人の若者と、黒い八枚羽を生やして宙に浮かんでいる男性がいた。見慣れた街のはずが高層ビルが崩れ落ち、辺りにはビルや木々が燃える姿や倒れている人達が多数見れる。


火災の中で小さな子供が親を呼ぶ声や、瓦礫に潰されて呻き声で助けを呼ぶ男性の声が聞こえていた。 若い男性は宙に浮かんでいる男性にここでまた何をするつもりだと言うと、宙に浮かでいる男性はこの世界も破壊して私の手中に収めると叫ぶ。


「そんなことはさせない! 俺が仲間達の分まで戦い続ける!」


若い男性がそう宣言すると、宙に浮かんでいる男性は地面に降りて若い男性に近寄る。


「天王寺ナツキと言ったか? お前の仲間は元の世界で既に死んでるかもな!」


天王寺ナツキと呼ばれた若い男性は、宙に浮かんでいた男性に俺はお前を倒すと刀を召喚して構える。


「お前が? 我を倒す? 笑わせてくれる……お前はそこの建物の陰に隠れている矮小な存在と同じだ! このアーリマンが殺してやる!」


そう言うと、建物の陰に逃げて隠れていた人達に右手を向ける。


「何をするつもりだ!?」


ナツキがアーリマン突進して行動を止めようとするも、遅いと言われ腹部を蹴られて吹き飛ばされてしまう。 そして右手を再度逃げた人に向けると、掌から直径五十㎝程の火球を飛ばした。


「やめろ! これ以上人を殺すな!」


地面に倒れながら逃げろと隠れている人に言うが、火球の速度が速いためにナツキの声が届く前に建物に隠れている人達がいる場所が爆発した。


「また人が死んだ……俺はまだ守れないのか……」


地面を何度も叩いて涙目になるナツキにアーリマンがお前程度じゃ我を倒せないと声色を低くして言うが、ナツキは刀を地面に刺して腹部の痛みを我慢して立ち上がった。


「俺は諦めない! 何度だって立ち上がってお前に立ち向かう!」


ナツキが諦めずに戦うと刀をアーリマンに向ける。 すると、アーリマンは翼を広げて魔法陣を多数空中に出現させると、そこから魔物や悪魔が出現する。


「俺は負けない……世界を救って皆を助けるんだ!」


叫びながら刀に魔法を付加させて走り出した。これは理不尽な運命に立ち向かい、抗い続ける天王寺ナツキの物語である。


そして、時は数年前に遡る。桜が咲き乱れる春から高校生になる、十六歳の男子高校生が桜が咲き乱れる一本道を歩いていた。 彼の名前は天王寺ナツキ、母親と妹の三人暮らしの四月五日に誕生日を迎えて高等学校に進学する少年である。


ナツキは、ショートヘアで少し柔らかそうな所々無造作な髪型であり、前髪は眼にかからない長さである。 優しい春の風を感じながら、ナツキは新品のブレザーを着て学校への道を歩いてる。


「桜が綺麗だな。 一年中桜咲いていればいいのに」


ナツキはこれからの高校生生活に期待を抱いていた。 中学生時代とは違い、自由度が広がる華の高校生活を満喫しようと考えていたからである。制約が多い中学生とは違い、高校生になると行動できる幅も多くなるので、アルバイトや新たな出会いなどで高校生活を謳歌しようと考えていた。


「俺は中学生時代とは違って、この学校で楽しく過ごしてやるんだ!」


一人歩く坂道で学校生活に夢を見ていた。


「まず何から動こうかな……部活や放課後に友達と遊ぶのもいいな!」


中学時代は文科系の部活に所属していたナツキは、高校生からは運動部や放課後に遊ぶことなど幅広く活動したいと考えていた。 運動部に入って部活に精を出すか、運動部に入らずに友達と遊びに精を出すか悩んでいた。楽しい悩みに笑いながら、部活のことやどんな友達が出来るか考えつつ桜並木の坂道を登って行くと、右側にあるガードレールから町が一望出来る場所まで歩いていた。


「いい眺めだなー。 友達が出来ればこの景色を毎日一緒に見れるのか……この学校に決めてよかったな」


坂を上って学校に行くので、坂の途中から見える景色は街を一望できる良い景色である。 ナツキは感慨に浸るが、ふと気づくと周りに生徒が誰もいないことに違和感を感じた。


(いくら登校時間よりも少し早いからと言っても、一人もいないのはおかしいんじゃないか?)


改めて周りを見渡してもナツキ以外には誰もいなく、周囲に誰の声も聞こえなかった。


「こんなに人いないものかな?」


不安になりながらも坂を上り続ける。 ナツキは桜並木をさらに歩いて行くと、晴天だと言うのに突然霧がナツキの周囲に発生した。

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