第13怪 浮遊層

 貪欲な物欲。


 飢え、乾き。


 ハングリー精神。


 それは強き精神力の源泉となる。


 自分個体の生命維持のための枯渇を埋める本能。


 飢え渇きが大きいほど推進力は力強く働く。



 日本人の多くは飽食の世の中で自分個体の生命の危機を感じるラインまで至らずにラインの後ろの安全領域から不平を垂れ流す。


 不平の集合は不平を増殖させ、無駄に生命時計を消費させる。


 自分の生物としての危機、存続の根源の声を感じる事なく安全領域で他人の目線やあり様に恨み嫉みを膨らます。


 恨み嫉みを解消させる栄華を手にした者はその虚しさに覆われて魂も希薄となり浮遊層となる。



 生命時計の門限は着実に近いている。


 門限を超えてまた生命時計を動かす新生となるには、強き生命への気持ち、〝再来〟を願う心の拠り所が必要。


 故郷で無垢な幼少時に得た不可思議な土着の想いを強くする出来事。


 巡り得た知己への思い、最愛の人、家族、親族への思い。


 形にないものの希少さを体感で感じる術に長ける日の本の子らはまたそこに〝再来〟するだろう。


 もし、時空を超えて〝再来〟する想いを脈々と繋げる古人と共有出来たならば、浮遊層に取り込まれなくて済むかも知れない。


 浮遊層は、〝再来〟出来ない魂のブラックホール。



 今日は快晴。


 持って生まれた体感する術で誰の邪念にも妨げられずに心地好い快晴の空、雲を伝って想いを感じてみる。


 で、いいのですよね井戸仙人さま。


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