第5話 護る者
「魔塔の主人様、アスタシャドラ公爵令嬢にご挨拶申し上げます。僕はリュード・シフリールです。シフリール侯爵家の三男です」
「僕はエスカ・ウィズタディアです。ウィズタディア公爵家の長男です」
「僕はジア・ラミンストリットです。ラミンストリット侯爵家の長男です」
「私はマリーシュ・キーファネスです。キーファネス侯爵家の長女です」
正直、滅茶滅茶怖い。この顔の良い子たち、私と同じぐらいって、本当にそうだった。
従者っていうから、もっと二段以下の家の子だと信じてたのに、なんなら同じ公爵家の子もいる。ていうか、みんな私と同い年か少なくとも二個上に見えるのに、なんでそんなにハキハキ発音できるのか。魔塔の主人が頼みの綱である。
「では顔合わせも済んだことだし、ここからは君たちがエプランシェ嬢のサポートを頼む。私は執務に戻るから、何かあれば執務室まで資料を届けろ」
…うん。そんなことだろうと思った…。
魔塔の主人が居なくなると、子供たちだけが部屋に残った。
あーこれ知ってるもん。いじめられるか滅茶滅茶に悪口言われてめんどくせーって言われるやつだもん。
「はあ。なんでアスタシャドラの子供なんか護らなくちゃならないんだよ」
「俺たちも家に命令されたとはいえ、本来なら俺たちが護られる側なのにね」
「…とりあえず案内…」
「ちょっと男子!いらないこと言わないで!」
…うん。知ってたけど見事なはちゃめちゃっぷりだな。
そこで自己紹介し忘れていたことを思い出し、もう面倒くさいからこのままやることにした。
「私はエプランシェ・アスタシャドラです。家に命令されたなら嫌かもだけど、仲良くしたいです。よろしくお願いします」
にこ、と笑ってみるが、反応は滅茶滅茶薄かった。…うん、もういいもん。だって私、ファンタジーの主人公じゃないもん。
とエプランシェは勝手に諦めていじけていたが、みんなあまりの可愛さに悶絶してただけで、エプランシェは一人で恥ずかしくなりながらみんなを一瞬で手玉にとっていたのだった。
転生したら耐性ができた件 Fuwarena @FuwaRena
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