第4話 魔塔の主人

「エプランシェ、君の話は聞いている。今日からここで暮らしてもらうに連れて、色々約束して欲しいことがある。魔塔の者に危害を加えないこと、魔塔について詮索しないこと、従者を常に連れることだ。ちなみに、従者は4人。もうこちらで決めさせてもらっている」

「…あの、じこはきがいにはいりますか?」

「不慮の事故なら問わない。いたずらはだめだ」

「わかりました。わたし、できます」

「ではここに血判を押してくれ。そのあとは、エプランシェの従者を呼ぼう」

はい、と呟き、自分の指を噛んだ。血が滲んだのを見て、渡された紙に押す。

紙は燃えた。ファンタジーの法則どうりなら、これで契約成立だ。


「な…っ」

満足していると、魔塔の主人の声が大音量で響いた。

「…エプランシェ。君、今、自分で自分の指を噛んで血を出したのか?」

「わ、はい、そーですが…?」

「そんな真似をする人は初めてだ。私の侍従が魔法で血を採ろうとしていたのだが、まさか公爵令嬢の君が…。とにかく、これからは自分の身を傷つけるな。魔塔が君の安全を保障しているのに、初日でこれは面目が立たない」

「あ…はい…ごめんなさい…」

「もう怒っていない。それより、従者だ。レオ、連れてきてくれ」

レオと呼ばれたのは、さっき私をここまで連れて来てくれた黒豹くんだ。は、と短く答えると、小さくテレポートと呟き、4人をテレポートした。


テレポートされたのは、男の子3人女の子1人だった。みんな頭が良さそうな子ばかりで、こんな子たちが従者になるのかあ、とちょっと気後れする。

一人が進み出て、私と魔塔の主人がいる方向に跪いた。

薄い紫の目の、王子様みたいな見た目の子供だった。紫は薄くても高貴な色だから、少なからずアスタシャドラ公爵家に並ぶほどの家の子であることは明白ということもあって、慌てて私も覚えたてのお辞儀をする。

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