第2話 展開

 「ちょっと何今の音、近所迷惑でしょ!」


 母親が朝から怒鳴っている。それもそのはずだ。大量のBB弾が部屋中に散らばり、壁に着弾の後が無数に存在している。


 「ごめん! 間違って撃っちゃった〜」


 適当な言い訳をして、2階からなんとか母親の怒りを鎮める。

 

 「おい、朝っぱらから何してくれてんだおい」


 もちろん俺の怒りの矛先は前方の魔女に向かうしかない。


 「では、ここらで本題にはいろうかのう」


 「唐突だなおい!」


 てかアンタは会話というものが何か分かってらっしゃるのかね。


 「なぜワシが今この部屋にいるところから話そうかのう。もちろんお前さんに用があってきたのじゃが、ちと付いてきてもらいたいのじゃ」

 

 「大体は分かったが何で俺なんだ?」

 

 やはりこの状況は異質すぎる。俺、対魔女コミュスキルが高すぎませんか……。いや、そんなこと考えてる場合じゃないぞ。このババアのコミカルさに振り回されてなんかリラックスしてたけど、やっぱ怪しすぎるよな。なんか新興宗教の勧誘かもしれないしなー。多額の入会金を要求される未来しか見えないんですけど。


 「お前さんの家に入ったのはたまたまじゃよ。そして、ただ選ばれたとだけいっておこう」


 「今は何も言えないってことか。いや、知ってても言わない。とにかく付いてこいってことか?」


 「そうじゃ、その方がワクワクするじゃろ?」


 そういって魔女は俺を絡ませた鎖を持ち、窓の方へ歩き出した。


 「えっと……。ちょっと待ってくれませんかね? まさかですけど窓から飛びお―」


 次の瞬間、魔女は窓を開け、俺を抱えたまま飛び降りたのだ。そして、俺の意識は落下中、静かに消え去っていった。






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狂乱的バイオロジー @sekaisaiai

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