第4話

「時間…ですか?」


私は障害の特性もあり、失敗がよくあった。

そして普通の人が出来る事は人の倍は時間がかかる。


軽く考えるだけで剣、素手、魔法の3つは危なげなく戦闘を熟せる位まで出来る必要がある。


現代人の30過ぎたオジサンである自分にとって激しい運動なんてする機会はほぼない。


身体を壊しでもしたら収入が無くなり、生活が危うくなるのだから休日は死んだ様に寝るのが常だった。


「剣、素手、魔法を危なげなく戦闘で熟せる位の技術を身に付ける為の時間が欲しい。


私は不器用なので常人より学ぶのに遥かに時間がかかる。


学ぶ項目が多ければ尚更だ」


私の計算上ではとても人の身が持てる寿命では足りない。


「そうですね…


ちなみにあちらの世界ではエルフが1000年は生きます。


あまりにも生物の範囲を超える寿命は与える事は出来ません」


「ならそれで構いません。


エルフ並の寿命さえ頂ければ後は何も要りません」


こういう物語では特別な能力を貰ったりもするが身に余る力は持つべきではない。


自身が努力し、得られた力を自由に制御出来る事で初めて自分の力と言えるのだ。


ズルして手に入れた力などそこまでに努力してきた人間を侮辱する最低の行為だ。


「解りました。


他に何か希望はありますか?」


「転生するならばこの年齢、身体のままでお願いしたい。


若返りなどしたら身体に慣れるのに時間がかかりますので。


そして出来るならば転移した先は修練が出来る場所が望ましいですね」


「解りました。


貴方は欲がなくて助かります。


言語に関しては解る様にしておきますね」


それは何ともありがたい。


言語の習得もとなると更に時間がかかったかもしれない。


「それでは時間もありませんので早速異世界に行って頂きます。


この世界の事をよろしくお願いしますね」


辺りが優しい光に包まれていくと、いよいよ転生する時間になったらしい。


私にどこまで出来るか解らないが、期待に応えれる様に頑張ろうじゃないか。

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