第13巻「ギザ十と蛞蝓と五月雨とその他」
ここは、無人資料館。
無人ゆえに誰にも読まれることのない資料が溢れているところです。
長い間、誰にも読まれることがなかったため、自らに書かれた内容すらとっくに忘れてしまった資料たちがここに棲んでいます。
おや?
どうやら、誰もいないはずの無人資料館に誰か迷い混んだようですね?
あの人はどんな資料を手にして、そこにはどんな内容が書かれているのか、観察してみましょう。
【ギザ
ギザ十とは、世界を支える十本の柱である。
ギザというのは地底深くにあるマントルとオゾン層の狭間にあるカラメル層のことであり、そこにある柱は紀元前三十三億年頃に建造が開始され、七億年かけて紀元前二十六億年までに合計百三十二本が作られた。
その内、現存する十本のことを纏めてギザ十と呼ばれている。
ギザ十があるために世界の均衡は辛うじて保たれているが、ギザ十が全て無くなった時には世界がマキシマムしてしまうと言われている。
ギザ十とは、世界を支える十本の柱である。
【
蛞蝓とは、動き回るダブルベッドである。
絶妙な質感で全身を包み込み、気がついた時にはマキシマムしてしまうそのベッドは、マキシマムした後が大変である。
マキシマムしている間に見知らぬ土地へと運ばれ、マキシマムから脱却した時には既に世界の果て、という例が後を絶たない。
蛞蝓とは、動き回るダブルベッドである。
【
五月雨とは、八月のジューンブライドのことである。
ジューンブライドとは即ち六月の花嫁、五月雨とは即ち八月の六月の花嫁なのである。
つまりは十四月の花嫁である。
十四月の花嫁は必ずマキシマムできると古くから伝えられているため、富と名声を好む強欲な老若男女から非常に人気である。
五月雨とは、八月のジューンブライドのことである。
【
苫小牧とは、トマトコーンマヨネーズウインナーの略語である。
トマトを食べたコロンブスはコーンとなってマキシマムし、マヨネーズを伴ってウインナーに転生した。
そして、そのウインナーを見たマゼランの友人の友人がたどり着いた楽園に、トマトコーンマヨネーズウインナーと名付けた。
いちいちトマトコーンマヨネーズウインナーと呼称するには長すぎるため、トマコマイと呼んだのは閻魔大王の妹の兄である。
苫小牧とは、トマトコーンマヨネーズウインナーの略語である。
【お
お汁粉とは、目玉の運動会のことである。
目玉の運動会は、毎月の第七金曜日の夜に桜の樹の
参加者は、
そして、決着は参加者のマキシマム具合によって左右されるが、大抵は引き分けである。
お汁粉とは、目玉の運動会のことである。
「なんかこのギザ十についての記載…ギザ十が昭和二十六年から昭和三十三年の七年間だけ作られたこととか、側面のギザギザの数が百三十二本あることとかに因んでて少しムカつくわね…そこまでギザ十に詳しいのならちゃんとした資料を載せなさいよ…もう帰ろ。さて、帰り道はどっちかしら……」
おや?
読んでいる途中で帰ってしまいましたね。
無事に帰れるといいのですが…
もし、皆さんが無人資料館に迷い混んだときは、皆さんの手で正しい内容に直してあげてください。
私?
私は人ではありませんので資料を開くことはできません。
久しぶりの人のお客さんが来て、書かれた内容を読んでもらえたので資料達も喜んでいます。
では、次のお客さんが来るのをお待ちしています。
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