第12巻「カネと政治と蝶番とその他」
ここは、無人資料館。
無人ゆえに誰にも読まれることのない資料が溢れているところです。
長い間、誰にも読まれることがなかったため、自らに書かれた内容すらとっくに忘れてしまった資料たちがここに棲んでいます。
おや?
どうやら、誰もいないはずの無人資料館に誰か迷い混んだようですね?
あの人はどんな資料を手にして、そこにはどんな内容が書かれているのか、観察してみましょう。
【カネについて書かれた資料】
カネとは、人類が生み出した世界最大の宗教である。
時には紙、時には鉱物、時には葉っぱ。
形を変え、物質を変え、遥かな時を跨いできた時の放浪者であるカネ。
カネというモノ、それ自体に意味があるのか無いのか、人々はいつの時代もカネに支配され、カネを信じ、カネを求め、カネを崇めてきた。
カネが天を翔ればマキシマム。
カネが地に潜ればマキシマム。
カネが人に渡ればマキシマム。
人が生み出した宗教の権化は姿こそ見えないが常に人を支配してきた。
カネとは、人類が生み出した最大の宗教である。
【政治について書かれた資料】
政治とは、ギブミーチョコレートである。
ギブミーチョコレート!
ギブミーチョコレート!
ギブミーチョコレート!
ギブミーチョコレート!
ギブミーチョコレート!
ギブミーチョコレート!
マキシマムするまで繰り返されるギブミーチョコレートは消えた十円玉により終焉を迎える。
そして、気づけば籠の鳥…なのである。
政治とは、ギブミーチョコレートである。
【
蝶番とは、ヨットハーバーのことである。
その昔、フランスパンで出来た鉛筆をタスマニアにもたらした人物が、タスマニアのヨットハーバーに着岸した際、タスマニアのヨットハーバーあまりの荘厳さにこう言った。
『まるで、今朝食べた蝶番の様だ…!!!』
それ以来、インドネシアの港区近辺では蝶番のことをヨットハーバーと呼ぶことになった。
ちなみに、メキシコの新宿区近辺では、ヨットハーバーのことを蝶番と呼び、水風船に蝶番を詰めてマキシマムするまで投げ合う祭りがあるが、その蝶番と上記の蝶番は一切関係がない。
蝶番とは、ヨットハーバーのことである。
【ドリンクホルダーについて書かれた資料】
ドリンクホルダーとは、心の広い人にしか見えない妖怪である。
南米の東京湾に浮かぶ足立区という島にはこんな言い伝えがある。
朝起きた時に良い朝だと思ったらドリンクホルダーのお陰。
夜寝る時に良い日だったと思ったらドリンクホルダーのお陰。
ハッピーが訪れ、スマイルが生まれるのはドリンクホルダーのお陰。
知らぬ間にハッピーとラッキーを届けるドリンクホルダーを見たら、見て見ぬふりしてラムネ菓子を上げよう。
これらは抜粋であるが、確かに人と人、あるいは物から物へとマキシマムしながら伝えられているものである。
ドリンクホルダーとは、心の広い人にしか見えない妖怪である。
【甘口カレーについて書かれた資料】
甘口カレーとは、砂糖をたっぷり入れてじっくり煮込んだシチューのことである。
よくわからない生物の肉とどこで採れたかわからない野菜を入れた体育館にたっぷりの砂糖を入れ、煮込んで煮込んで煮込むこと二年と四日、最後の仕上げにマキシマムすれば甘口カレーが完成する。
それは、カレーの様に美しく、ボルシチの様に気高く、ビシソワーズの様にクールに燃えるシチューである。
甘口カレーとは、砂糖をたっぷり入れてじっくり煮込んだシチューのことである。
「シチューなのかカレーなのかボルシチなのかビシソワーズなのかはっきりしないわね!これも書き直し決定よ!」
おや?
あの方は…
書くものも消すものもないのにどう書き直すのでしょうか…
もし、皆さんが無人資料館に迷い混んだときは、皆さんの手で正しい内容に直してあげてください。
私?
私は人ではありませんので資料を開くことはできません。
久しぶりの人のお客さんが来て、書かれた内容を読んでもらえたので資料達も喜んでいます。
では、次のお客さんが来るのをお待ちしています。
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