第11巻「ハンバーグと麻婆豆腐と飴とその他」
ここは、無人資料館。
無人ゆえに誰にも読まれることのない資料が溢れているところです。
長い間、誰にも読まれることがなかったため、自らに書かれた内容すらとっくに忘れてしまった資料たちがここに棲んでいます。
おや?
どうやら、誰もいないはずの無人資料館に誰か迷い混んだようですね?
あの人はどんな資料を手にして、そこにはどんな内容が書かれているのか、観察してみましょう。
【ハンバーグについて書かれた資料】
ハンバーグとは、半分ババアの天狗である。
漢字で書くと
人間が大好きな半婆狗は、町中で気に入った人間を見付けると密かに後を着ける。
そして、相手の棲み家が判明すると一度帰った後に再び現れる。
しかしその時、半婆狗は既にマキシマムしており、人に触れることも声を掛けることも出来ない。
半婆狗は常に恋と言う名の迷路に迷う恋する乙女である。
ちなみに、半婆狗は半分ババアで半分天狗と言う肉体にも関わらず、容姿端麗の絶世の美女であり、恋する前の半婆狗、つまりマキシマムする前の半婆狗は様々な昔話に出てくる美女の正体とも言われている。
ハンバーグとは、半分ババアの天狗である。
【麻婆豆腐について書かれた資料】
麻婆豆腐とは、書きかけの
瞼を閉じれば想い人が浮かぶ。
筆を取れば想い人への愛の言霊が浮かぶ。
そんな時、恋文を書こうとしても想いがマキシマムしてしまい、結局は最後まで書くことが出来ずに未完成のまま麻婆豆腐になる。
溢れる想いの全てを
麻婆豆腐とは、書きかけの恋文である。
【飴について書かれた資料】
飴とは、重さ六トンの歯の化石である。
ユリウス暦五千六百年頃に月の裏側で発掘されたその化石は、人に似た何らかの生物のものであると断定されたが、真偽はユリウス暦二万二千年を過ぎた今でも不明である。
しかし、その歯を持った生物が生きていた時代は解ってきており、約六億年ほど前の生物だと云われている。
また、その生物は月でマキシマムしていた形跡があり、調査をすれば他の化石が見つかる可能性が高いと飴学者のライ・ブラック氏は語っている。
飴とは、重さ六トンの歯の化石である。
【コーヒー豆について書かれた資料】
コーヒー豆とは、戦場に降る悲しみの赤い雨である。
『コーヒーがマキシマムして、悲しみをマキシマムさせる。』
あまりにも有名なこの言葉はコーヒー豆の生みの親である人物の言葉とされているが、親族や関係者によるとそんな言葉は遺していないとされている。
しかし、コーヒー豆の生みの親がコーヒー豆を生み出してしまったことで、コーヒーと悲しみによるマキシマムの連鎖が始まったことは事実である。
コーヒー豆とは、戦場に降る悲しみの赤い雨である。
【チンパンジーについて書かれた資料】
チンパンジーとは、チ○…………………
(この先は破れていて読めない)
「マジでふざけないでよ!何で私が手に取った資料はセクハラで終わろうとするの!こんな資料は破いてやったわ!…メガネ拭きを忘れて取りに戻ったらさっきと違う資料があったからつい読んでしまったけれど、今度こそ本当に帰るわ!」
おや?
資料を破いてしまいましたね。
無事に帰れるといいのですが…
もし、皆さんが無人資料館に迷い混んだときは、皆さんの手で正しい内容に直してあげてください。
私?
私は人ではありませんので資料を開くことはできません。
久しぶりの人のお客さんが来て、書かれた内容を読んでもらえたので資料達も喜んでいます。
では、次のお客さんが来るのをお待ちしています。
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