第5巻「酒と涙とオカマとその他」
ここは、無人資料館。
無人ゆえに誰にも読まれることのない資料が溢れているところです。
長い間、誰にも読まれることがなかったため、自らに書かれた内容すらとっくに忘れてしまった資料たちがここに棲んでいます。
おや?
どうやら、誰もいないはずの無人資料館に誰か迷い混んだようですね?
あの人はどんな資料を手にして、そこにはどんな内容が書かれているのか、観察してみましょう。
【酒について書かれた資料】
酒とは、神の泪である。
時に武器として、時に装飾品として、時に友達として、常に魔の物と相対してきた神の泪が泰平の世に召喚されたとき、神の泪は酒へと姿を変えた。
酒は時に人を惑わし、時に人を癒し、時に人を狂わし、そして最終的には人を壊す禁断の果実でもある。
それはまさに、人こそが神の泪が相対してきた魔の物であることを証明している。
特に、神の泪である酒を接種することでマキシマムしてしまう人は、魔の物になりつつあるので注意が必要だ。
酒とは、神の泪である。
【涙について書かれた資料】
涙とは、禁断の最終兵器である。
どんなに強い支配者も孤独を抱えてたった独りで涙する。
どんなに弱い独裁者も孤独を抱えてたった独りで涙する。
涙が涙を生み、その連鎖が再び涙を生む。
つめたい涙は悲しみを呼び、あたたかい涙は喜びを呼ぶ。
ただし、
しかし、涙がマキシマムスパーキングすると核兵器となり破滅へと向かうことがある。
涙とは、禁断の最終兵器である。
【オカマについて書かれた資料】
オカマとは、シャケの皮である。
シャケとは鮭であり、太古の昔、宇宙より降り注ぎし強力な紫外線により進化したベソッカキトビムシの第二形態である。
そして、その皮こそがオカマであり、第二形態から第三形態に進化するためには欠かすことの出来ない最重要器官である。
つまり、オカマことシャケの皮がなければ進化したベソッカキトビムシは第三形態になることが出来ずにマキシマムすることは永遠になくなる。
だが、極めて稀ではあるものの、オカマなしに第三形態になるという個体も存在が確認されている。
それらの個体は大抵が、第一形態で既にアンマキシマムしている場合が多い。
アンマキシマムしておらず、尚且つオカマを有せずに第三形態になり、マキシマムを成し遂げた個体は二億年に一度誕生する第四形態への進化を遂げる可能性を秘めている。
オカマとは、シャケの皮である。
【白ワインについて書かれた資料】
白ワインとは、風の囁きを聞いた後のワインである。
風の囁きが聞こえるとき、それはワインにとって最高のマキシマム日和を迎えたことを意味している。
最高のマキシマム日和を迎えたワインは一斉にマキシマムして天地を二つに分けて発光しながらパーティーへと向かう。
そして、パーティータイムラプソディーを披露したワインは一斉にマキシマムエンドを迎えて白ワインとなる。
この時、エンドレスマキシマムに至ったワインは赤ワインとなり二度目の風の囁き、つまりはマキシマム日和を待つが、ほとんどのワインは一度の風の囁きを聞いた後で白ワインとなる。
白ワインとは、風の囁きを聞いた後のワインである。
【ギルティーについて書かれた資料】
ギルティーとは、ギャルのパンティーの略語である。
そして、ギャルのパンティーとは、約四十六億年前に太陽系が誕生してから十億年あまりの間、七つの星しかなかった太陽系に対して、小惑星群やエッジワース・カイパーベルト天体を追加したとされるマキシマム現象の一つである。
それにより太陽系は活性化して火星に文明が誕生したとされているが、肝心の火星の文明は地球に文明が生まれる遥か以前に滅びてしまったため、ギャルのパンティーに対する情報は憶測の域を出ない。
しかし、火星の文明が地球に文明をもたらしたという説もあるため、もしそれが事実であるとするならば、いずれはギャルのパンティーについても詳細がわかるであろうと云われている。
ギルティーとは、ギャルのパンティーの略である。
「なんか、読んでいると頭おかしくなりそうな資料ね…」
おや?
読んでいる途中で帰ってしまいましたね。
無事に帰れるといいのですが…
もし、皆さんが無人資料館に迷い混んだときは、皆さんの手で正しい内容に直してあげてください。
私?
私は人ではありませんので資料を開くことはできません。
久しぶりの人のお客さんが来て、書かれた内容を読んでもらえたので資料達も喜んでいます。
では、次のお客さんが来るのをお待ちしています。
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