第3巻「夕方と愛とピロシキとその他」
ここは、無人資料館。
無人ゆえに誰にも読まれることのない資料が溢れているところです。
長い間、誰にも読まれることがなかったため、自らに書かれた内容すらとっくに忘れてしまった資料たちがここに棲んでいます。
おや?
どうやら、誰もいないはずの無人資料館に誰か迷い混んだようですね?
あの人はどんな資料を手にして、そこにはどんな内容が書かれているのか、観察してみましょう。
【夕方について書かれた資料】
夕方とは、輝くブラックホールである。
朝になり闇が支配した世界に突如現れる光の森。
その光の森の中に流れるサンバのリズムが織り成す不協和音こそ輝くブラックホールであり、夕方である。
それは闇が支配した世界にとっては救世主に思えるが、実際は真逆で、闇の中に混ざり会う光の森の輝くブラックホールは時を経てマキシマムし、終焉の使者となる。
夕方とは、輝くブラックホールである。
【愛について書かれた資料】
愛とは、
本来の駱駝は、その瞳の奥深くに深淵を抱き、愚かな人類が滅ぶのを見守る観測者だが、堕落した駱駝はその使命を忘れてマキシマムすることだけに生涯を費やし、最終的にはマキシマムエクスクラメーションしてしまう。
そうなった駱駝はもはや駱駝ではなく愛となる。
愛とは、堕落した駱駝である。
【ピロシキについて書かれた資料】
ピロシキとは、
肉を詰めた饅頭をマキシマムして、
ただし、十月と十日より長く磔にするとピロシキはマリッジブルーを引き起こして反逆のカリスマとなるので要注意。
逆に十月と十日未満だと空の玉子丼になるので、それはそれで楽しむのもあり。
ピロシキとは、肉饅頭である。
【マキシマムについて書かれた資料】
マキシマムとは、マキシマムである。
マキシマムは、マキシマムがマキシマムすることをマキシマムしたために、マキシマムになったマキシマムである。
マキシマムは森羅万象全てにマキシマムの可能性を与え、森羅万象全てをマキシマムさせる権利を持つ。
逆に森羅万象全てにアンマキシマムすることも可能なのでマキシマムに頼りすぎることは要注意。
マキシマムとは、マキシマムである。
【コッペパンについて書かれた資料】
コッペパンとは、戦場に舞い降りた女神である。
時は西暦220年頃のアメリカ大陸。
終わらない争いに終止符を打つべく、時の権力者はザナドゥを使い、橋の上に空を作った。
橋の上の空は一瞬で争いを終わらせたかに見えたが、次の刹那、空からは木が生えてきて以前よりも激しい争いが始まった。
その時に地中深くの海から舞い降りた女神こそがコッペパンである。
女神であるコッペパンは橋の上の空とそこに生えた木を一瞬でマキシマムし、争いを終わらせた。
コッペパンとは、戦場に舞い降りた女神である。
「なんだよこれ!意味わかんねえな!しかも何でピロシキの初めと最後の一行だけ微妙にそれっぽいんだよ!」
おや?
読んでいる途中で帰ってしまいましたね。
無事に帰れるといいのですが…
もし、皆さんが無人資料館に迷い混んだときは、皆さんの手で正しい内容に直してあげてください。
私?
私は人ではありませんので資料を開くことはできません。
久しぶりの人のお客さんが来て、書かれた内容を読んでもらえたので資料達も喜んでいます。
では、次のお客さんが来るのをお待ちしています。
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