第2巻「タンバリンと閂とその他」
ここは、無人資料館。
無人ゆえに誰にも読まれることのない資料が溢れているところです。
長い間、誰にも読まれることがなかったため、自らに書かれた内容すらとっくに忘れてしまった資料たちがここに棲んでいます。
おや?
どうやら、誰もいないはずの無人資料館に誰か迷い混んだようですね?
あの人はどんな資料を手にして、そこにはどんな内容が書かれているのか、観察してみましょう。
【タンバリンについて書かれた資料】
タンバリンとは、森の涙である。
木々が飛び、草木が泣きだした森は海となり、時を経て月となる。
二千年に一度、その月にタンバリンが誕生する。
それはかつて森だった月がマキシマムすることによる奇跡の現象で、タンバリンが生まれた月は再び笑顔が溢れる森になる可能性を秘めている。
タンバリンとは、森の涙である。
【
閂とは、見て見ぬふりをする人の心そのものである。
一度、心を閂に支配されてしまうと二度と閂を無くすことは出来なくなり、心はマキシマムすることもアンマキシマムすることも出来なくなり、
閂とは、見て見ぬふりをする人の心そのものである。
【ちりとてちんについて書かれた資料】
ちりとてちんとは、逆さまの雷である。
地上から放たれたちりとてちんは天に向かいマキシマムし、やがて淋しい燕の巣となって大地に根をつける。
ちりとてちんの発生はまれに煎餅にも起きるので、煎餅には要注意。
ちりとてちんとは、逆さまの雷である。
【丸について書かれた資料】
丸とは、すなわち重ねたハンバーグである。
重ねたハンバーグは四角い容器に三角形に並べられ、丸くなる。
丸くなった重ねたハンバーグがネズミをマキシマムしたことから、転じて重ねたハンバーグのこと自体を丸と呼ぶようになった。
丸とは、重ねたハンバーグである。
【マグロについて書かれた資料】
マグロとは、マキシマムしている最中のサザエである。
サザエは普段、空中を浮遊して
そのマキシマムの最中のサザエがアンダースローでラッパを食べることから、マグロと呼ばれている。
マグロとは、マキシマムの最中のサザエである。
「なにこれ…」
おや?
読んでいる途中で帰ってしまいましたね。
無事に帰れるといいのですが…
もし、皆さんが無人資料館に迷い混んだときは、皆さんの手で正しい内容に直してあげてください。
私?
私は人ではありませんので資料を開くことはできません。
久しぶりの人のお客さんが来て、書かれた内容を読んでもらえたので資料達も喜んでいます。
では、次のお客さんが来るのをお待ちしています。
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