第50話 前日
「お願いします!ここのお店に来るお客さんのこととお店のメニューのこと教えて下さい!」
次の日俺と真木咲さんは店が閉まった後、新メニューのために明希おばさんと知村さんにお客さんのことやすでにあるメニューについて聞いていた。
昨日陽心に言われたことを真木咲さんに話すと、一度店長たちに聞いてみようということになったのだ。
「新メニューのためにいろいろ情報を集めてるのね。」
「はい。少しでもお店のことを知って、それからメニューを考えたくて。」
「うん。分かったわ!」
明希おばさんは笑顔で頷き、ここに来るお客さんとお店のメニューのことを詳しく話してくれた。
ここに来るお客さんは主に、平日は仕事の合間のお昼で来る人と、主婦たちが多く、休日は学生さんと家族連れの方が多いみたいだ。
今はちょうど夏休みの時期だから学生さんも平日に来ることが多い。
だから今のお客さんの層はお昼として食べに来る仕事の人、主婦、学生だ。
ここのメニューは、サンドイッチやカレー、オムライスなどの主食や、サラダなどの副菜、パフェやパンケーキなどのデザート、その3つに大きく分けられる。
この店ではあまり物珍しいメニューはなく、見た目もごく普通の美味しそうな料理。
それを好んでいるお客さんが多い。
そう考えると、奇抜で変に目立つ料理はこの喫茶店には合わないのかもしれない。
主食は喫茶店ならではの親しみのある料理が良さそうだ。
できればデザートも考えたいところだが、今は主食に集中しよう。
「ありがとうございます!店長!」
「いいのよ〜。教えられることは全部教えるから頑張ってみて!千秋ちゃんからもほら!」
明希おばさんにそう言われると知村さんは少し考えて話始めた。
「私からは、、、出来れば盛り付けや工程がそれほど難しくない方が良いかもしれません。盛り付けはホールの人もやるのでその時にやりやすい方が助かります。」
「分かりました。盛り付けなどはあまり難しくならないようにですね。」
「その方が私もありがたいです!あはは。」
真木咲さんや俺の技量の面で考えてもその方が良さそうだ。
「島木がどうするかは分からないけど、私は応援しますので何か分からないことがあったら聞いてください。」
「「はい!ありがとうございます!」」
* * *
いろいろお店のことを聞き終わったあと、
掃除当番だった田淵くんとも合流して今は真木咲さんと3人で帰っている。
「へー、それで2人で新メニューを考えることになったんだ。」
田淵くんには新メニューを考えることになった経緯を最初から話した。
「ああ。田淵くんもなんかアドバイスない?」
「アドバイスって、俺大和くんと一緒で新人なんだけど。」
「新人さんから見たアドバイスも欲しいです!田淵くん!」
「俺からは、、、、何もないです。」
田淵くんは少し真木咲さんの方を向いてから、目をそらしてそう言った。
「じゃあ何か思いついたらなんでも言ってください!」
「、、、はい。」
「昨日は何も決まらなかったけど、今日は方向性が少し決まったのでよかったです!大和くんありがとうございました!」
「いえいえ、昨日いろいろアドバイスもらえたので。」
「そうなんですね!じゃあその方にもお礼を言っておいてください。あ、お店にも是非お越しくださいともお伝えください!」
「はい。、、、あ!」
ニコニコと笑って言った真木咲の言葉に思い出した。
「どうしたんですか?」
「その人、明日お店に来てくれるのを思い出して。」
「おお〜それは楽しみですね!」
そういえばもう明日なのか。
陽心が来てくれる。
ずっと応援してくれていたんだ。
しっかり接客して良い時間を過ごして欲しい。
「はい、楽しみです。」
そして、ついでにと言ってはなんだけど、
俺のこと少しでも格好良いと思ってくれたら嬉しいな。
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