第四話 飯、争奪戦!!!!
白い袴に着替え客間で寝そうになりながらぼうっとしてくつろいでいると、ノック音と共に襖が静かに開き、ピンク色の前掛けを着けた鈴が現れた。
「ご飯にしましょう。広間に案内するわ。」
言われるがまま翔は鈴に付いていく。
「あ、あの、さっきは、その、ごめん!」
翔が鈴のおしりを触ったことを謝る。
「そんなの気にしなくて良いわ。」
鈴は気にもしないような調子で淡々としていた。
「…………ふ、普通、もっと怒るもんだと思うんだけど…」
姉妹共々、何か妙にずれてるな…翔はヒッソリと思った。
広間に入るとそこには既に「出来上がった」太郎と雅一の姿があった。
「あっそれヨイヨイ!」
太郎が酒の瓶を持ちながら何やら変な躍りをしている。
「良いぞ!良いぞ!おっ!翔君!やっと来たか!私お手製の手料理だ!どんどん食べてくれよ!」
「そこに座って。」
オイオイと思いながら翔は鈴が指定した場所に座った。
「さぁ!飯だ!飯だ!」
元気な声と共に華が勢い良く襖を開け広間に入ってきた。
「女が飯ってだけでそんなに元気になるもんかね。」
翔が横目で華の方を見る。
「いちいち、いちいち、あんたはうるっさいのよ!」
華が大声で喚く。
「はぁーあ。ホント、神経質な男ってなんなのかしら?ホントにあんた、あそこにモノ付いてんの?脱いでみたら案外無かったりして、ねぇ、翔ちゃん?」
華がケタケタ笑う。
「なんだよ!」
翔が苛立った声で言う。
「なによ!」
華も似たような態度で言い放った。
その後、数秒間二人でにらみ合いを続けた後「フンッ!」とお互い言い放った。
「オイオイ、飯くらいさ、楽しく食べようね、ね。」
雅一が二人をなだめる。
「だってこいつが!」
翔と華がお互いを指差しあう。そのタイミングでお互いのお腹がグゥと鳴った。
「ほらほら、お腹も空いてるみたいだし。」
はぁと2人とも大きなため息を吐いた後、飯を食べ始めた。
飯を食べてる途中、翔が煮物の里芋に箸をのばした。瞬間、里芋が消えた。
「ん~親父が作る煮物は最高だぜ!」
華の方から御機嫌な声が聞こえてくる。
イラッとしながらも翔はその隣にあった豚カツに箸をのばす。瞬間、豚カツが消えた。
「ん~この豚カツもサックサック!」
ぶち切れそうになりながらも、翔はほうれん草のおひたしに箸をのばした。勿論、ほうれん草も消えた。
「ほうれん草茹でただけなのに、こんなに美味く出来るのは親父だけだぜ!」
コイツッ能力使ってやがる…!しかも、正確に俺が箸で掴もうとしたやつを狙って………!
フフンとした表情で華が煮物の大根の方に箸をのばす。瞬間、大根が消えた。
「あー大根うっまいなぁ!この大根超美味いわー!マジで!なんなのこの大根の美味さ!ヤバすぎ!」
華がこちらを睨んでいるのを尻目に翔がわざと大声で言いふらす。
そんなことを二人で続けている内に二人の腹はパンパンに膨らみ、
「もう、限界…」
と言いながら2人ともその場に倒れこんだ。
「2人とも、自分の茶碗は自分で運びなさいね。私は太郎さんとお父様のも運ばなきゃだから。」
鈴が二人に向かい淡々と話す。
「ふぁ~い」と2人とも力無く返事をした。
「ヒッグ!ウェーア!太郎よ、翔君のあの能力は一体なぁ~に?」
酔った雅一が太郎に話しかける。
「ヒッグ!ウェーア?翔の、~ウィッグ!あー、あいづの能力は!ヒッグ!我が一族でもかなり!ヒッグ!特別でな!ウェーア!ばあ様から他人に易々と教えるなとよ!」
「あら ~ウェーア、なんだかすんごい!ウェーア!能力なのね~!」
「そうなの~ウェーア!」
太郎と雅一はその場に寝込んだ。
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