神様

「協力?」

 白衣の少女はポンッと自分の両手を叩いていた。

「はい、和希さん。あなたに協力をして欲しい事があるんです」 

「……」

 ここは一体どこなんだ。こんな真っ暗な世界で俺はなんの協力をさせようっていうんだ。

 というか、目の前にいるこの小さな子供は一体、誰だ。

 すると白衣の子はこっちに近づき。ジッとこっちを見てきた。

「困惑してますね? ここがどこで、私は一体誰なのかって」

 ニコッて笑っている。

「そうだよ。お前は――」

 白衣の少女は手を自分の胸に手を当てていた。

「私は神様です」

「……は? 神様?」

「はい、神様です。あなたに手伝って欲しいことがあって、お呼びしました」

 自称、神様はそう頷いた。

「手伝い?」

 そういえばこの子はさっきから協力など、手伝いだいをして欲しいと言ってきたが、この子が神様だっていう証拠がない。

「じゃあその証明をしてくれないか?」

 神様は頷いていた。

「いいですよ。あなたを3分ほど向こうの世界の方に戻します。それが確認が出来たら協力してくれますか?」

 向こうの世界に戻す……。

 戻すって言うことは俺が現代に居た世界ということか……。

「あぁ、あのベンチの所まで戻したら話だけは聞こうか」

「はい、分かりました。それじゃあ行きますよ」

 神様がポンッと叩くと目の前が一瞬で変わった。


 シュンッ!


「……え?」

 俺は立っていて周りを見渡した。フェンスに街灯、そして飲み物を買った自販機まであった。

「……本当に戻ってきたのか?」

 手にはさっき拾ったカードが手元にあった。

 すると耳元から雑音が聞こえてきた。

『――あ、あ~。聞こえますか? 和希さん』

「――っ!」

 この声、さっきまで話していた神様の声だ。

『和希さん? あの~和希さん?』

 え、本当に神様なのか?

『和希さん? ……全く反応がないですね。失敗しちゃったのかな?』

 急いで声をかけないと!

「あ、ああ聞こえてるよ」

『あー良かった……。通信が出来ない所に飛ばしてしまったのかと思いましたよ』

「悪い」

 俺はベンチに座りコーラを飲み干す。

「……ふぅ」

 いきなり過ぎて頭が付いていけない。

 本当にあの白衣の子は神様だって言うんだったら。なんで俺を呼んだ? 要件とは一体なんだ。

 すると耳元から声がまた聞こえた。

『和希さん、そろそろ時間です。戻しても構いませんか?』

「あ、あぁ……。分かった。お願いするよ」

 返事をしたあと、すぐに背景が変わって神様が目の前に立っていた。

「これでお話しの方は聞いてくれますかね?」

 公園のところで声を聞いたら認めるしかない。

「ああ。話を聞こう……。それで協力って何をしたらいいんだ?」

「はい。和希さんには異世界に行って武器とスキルの回収を行って欲しいんです」

「――っ!」

 異世界。神様はそうはっきりと答えた。

 俺が行きたかった場所。

「マジで異世界に行けるのか!?」

 神様の肩を掴み、興奮のあまり前後に揺らしていた。

「はい! 行けます! 異世界に招待しますから、そんなに揺らさないで下さい!」

「あ……悪い」

 肩を離して、少し気持ちを落ち着かせる。

「それで武器とスキル集めって言ったか?」

「はい、最近だと皆さん。現世とは違う世界。異世界に行ってこうとしている方々が多いんですよ」

「まあ確かに……」

 現実とは違う世界で戦いながら、冒険してみたいってことだからな。

「それなのに楽に冒険が出来るようにしろ! とか、チート能力で無双だっていうじゃないですか。皆さん楽しすぎなんですよ! 世界がそんな甘くは出来てないんです!」

 すいません……楽しようとしていた人間がここに居ます……。

「そんな感じで異世界で転生する人が多いので、武器とかスキルの在庫がなくってそれの回収をして欲しいんです」

「なるほど……」

 頼み事はわかった。でも違和感というか腑に落ちないところがある。

「異世界に行けるのは嬉しいが、どうして他のやつに頼もうとしないんだ?」

「え、あぁ……。それはに聞いてもらえると……」

「あの子?」

「はい。これから紹介しますが、和希さんはこの武器集めに協力してくれないですか? もちろん嫌だっていうなら。普通に異世界で探索して頂いても構いません。私の勝手に連れ出してしまったので、そのお詫びとして……」

 まあ、異世界に行けるんだったら、武器とかスキルの収集とかいいかもな。

「やるよ。俺でよければ」

「ありがとうございます!」

「それで、どうやって集めるんだ?」

「はい。それに関してはこの子に任せます」


 パチンッ!


 神様は指パッチンをすると地面から青い光が出てきて星を描いた。星の外側に円を囲むと漫画やアニメで見る魔法陣になっていった。

 小さな光が見え段々と集まっていくと、小柄でツインテールのピンク髪の女の子が現れた。

「この、マナって子が収集に手伝ってくれます。冒険でも活躍しますよ」

 マナって子はゆっくりと目を開けていった。 

「初めましてカズキさん」

「は、初めまして……」

 可愛い……。

「機械の体なのでよろしくお願いしますね」

「――っ!?」

 機械!? 見た目は本当に人間の女の子だ。

「マジで!?」

「はい。あと、武器とかスキルを集めらなんでもご褒美をあげますのでよろしくお願いします」

「あ、あぁ……」

 それより機械の女の子って言うところにまだ違和感があるのだが……。

 神様は両手でパンと叩くと、謎の空間を出現させた。

「この空間を通れば異世界に行けます。なにとぞご武運を……」

 本当に異世界に行ける!

 もう、それだけで心が躍った。

「あぁ。武器集めしてくるよ」

 俺が歩くと機械の女の子も一緒に歩き出し。空間に入っていく。

 道中、神様の声が聞こえた。

「あの子がまさか、ねぇ……」

 

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機械少女はいつも笑う 二髪ハル @2kamiharu

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