第6話 テッドと教会。
街を歩くと入り口の方の被害は甚大で今も人々が瓦礫の除去なんかを行なっている。
「あー、私も瓦礫除去のクエストを受けようかな」
「クエスト?」
「テッドさん、リリオさんは仕事を受けると言う話をされているんですよ」
「仕事とクエストは同じもの?」
「はい。同じものですよ。テッドさん」
テッドがリリオに聞くと魔物退治は弱い魔物の時に引き受けて普段は荷物運びや瓦礫除去なんかをして生計を立てていると教わる。
「後は埋葬とかもあるけど私はやらない。
苦手なんだよね」
そんな話をしているとテッド達は教会に着く。
教会前も銭湯の痕跡で汚れて居たが街の入り口に比べれば全く気にならないレベルだ。
入り口の僧侶がこちらに気付くとオプトの元に歩いてくる。
「オプト様、本日はどうされました?」
「ここにいるテッドさんの鑑定をお願いに来ました。
後、テッドさんは始まりの地から着たプラスタですが記憶も何もなく屋敷の庭に居ました。
至急神様に保護のお願いに来ました」
テッドが用件を伝えている間にリリオは「瓦礫除去のクエストに行ってくるよ」と言って教会の中に入るとすぐに外に飛び出して行く。
本当に神が関わると感心が無くなるように出来ている感じだ。
「始まりの地からいらしたプラスタですか?
今では大変貴重な存在で御座います」
そう言って僧侶はテッドに手を合わせる。
テッドは会釈をする。
「ただ鑑定となればオプト様にも鑑定のお力が有ったかと存じますが?」
「テッドさんの祝福は僕が鑑定しただけで3つありました。
見た感じまだ有りそうなので是非神父様に上位の鑑定をお願いしたいのです」
「3つで御座いますか?
それは凄い。
そして更に祝福を受けていらっしゃると!」
僧侶は驚きを口にすると申し訳なさそうな顔をする。
「オプト様、申し訳ありません。
先程の襲撃で神父様はお亡くなりになりました。
今、次の神父様を手配中で御座います。
赴任までお時間を頂くことになります。
ですので鑑定も神様へのお声がけも今は出来ません」
「あ…、そう…ですか」
そのやり取りを聞いてテッドの脳内に教会に着いた際に殺されて居た立派な服装の僧侶がいた事を思い出して居た。
「申し訳ありません。何かお役に立てれば良いのですが…」
「いえ、次の神父様はいつ頃?」
「恐らく3日後になります」
僧侶の発言にオプトは少し残念そうにしながらテッドを申し訳なさそうに見る。
いち早く自分の事は知りたいが来ないものをどうこう言うつもりはテッドには無かったしその事でオプトや他の誰かを責めようなど考えた事は無かった。
「質問は出来るのか?」
「テッドさん?」
「内容にもよりますがどのような事でしょうか?」
「俺の祝福にソードマスターと言うものがあったのだが唱えても何も起きなかった。
その事でわかる者はいないか?」
「それでしたら私でもお答え出来ます。
ソードマスターの祝福は授かるだけで常時発動をする祝福、言わば天の才能なのです。唱えても何も起きないのは基本的に常時発動か実力不足になります」
テッドは成る程と言って納得をし、オプトは凄いですテッドさん!と感激している。
「もう一つ聞いてもいいか?俺もリリオのように仕事を受ける事は可能か?」
「構いません。ではこちらをお待ち下さい」
そう言ってネックレスを渡される。
「これは?」
「「記録の札」と言う物になります。
ここに倒した魔物の事や行った仕事の実績が記録されていきます。
鑑定を持つ教会のスタッフやオプト様のように鑑定持ちの人が見れば実績の確認も出来ます」
理解をしたテッドはネックレスを首にさげるとネックレスは光った。
「これでその「記録の札」はテッド様の物になりました。
それでは何かクエストをお受けになりますか?」
テッドはそのつもりであったがオプトに止められる。
「テッドさん、仕事は明日以降にして、とりあえずウチに来てください。
先程の部屋をテッドさんにお貸ししますので神父様が来るまではウチに滞在してください」
確かに空は夕焼け空に変わり始めて居て今から仕事を受けるのも難しいものもあるし土地勘もない。
テッドは僧侶に明日出直す事を告げて帰ろうとするとリリオが駆けてくる。
「あ!まだ居た。私はクエスト成功。
それでさぁ、泊まっていた宿屋が焼け落ちちゃってさぁ…」
そう言うとリリオがニヤニヤとオプトを見る。
「これも何かのご縁です。
リリオさんもどうぞいらしてください」
「やった!ありがとうオプト君!」
そして3人はオプトの屋敷に帰って行った。
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