第5話 テッドとサルディニス。
オプトは部屋にメイドを呼びつけると「今から僕は教会に行きます。留守をお願いします。それと今日から客人が長期滞在をするかも知れません。部屋の用意と食事の用意をしてください」と言う。
メイドは「かしこまりました旦那様」と言うと部屋から出て行く。
「テッドさん。このサルディニスについて少しお話します。
今のメイドはマイスタ…マイナススタッフです。
マイスタは犯した罪がなくなるまで世界の為に従事します。
教会で避難したスタッフを守って死んで行った僧侶も皆マイスタです。
それは理解できますか?」
オプトは優しくテッドに聞いてくる。
テッドは「何とか…、わからない事もあるが続けてくれ」とオプトに言う。
「はい。
マイスタは神話にある始まりの地や第一の地、第二の地、それと楽園で罪を犯した者、後はこのサルディニスで生前に罪を犯した者がその罪に相応しい役割を課せられた存在です。
スタッフはこの世界で生まれた命。
親の跡を継いでもいいし剣を取って冒険に出るのも自由です。
スタッフはマイスタの両親からも生まれてきます。
僕のようなプラスタは楽園で非業の死等を遂げた者がまた楽園に生まれる日まで魂を癒す為に幸せになる為に生まれてきた存在です。
テッドさんの場合、プラスタの中でも珍しい始まりの地で今の姿で生まれて幸せになる為にこの世界に来た存在です」
そこまで聞いて引っかかる単語があったが聞き返しても「それがサルディニスです」と答えられそうなので流すことにした。
「そしてリリオさん。
彼女はプレイヤーです。
プレイヤーはテッドさんに近い存在ですがプラスタではなくどちらかと言えばスタッフです。
ある日あの姿でサルディニスに生まれ落ちて何をするのも自由です。
ただプレイヤーには本人も知らない一定のルールや決まりがあります」
本人も知らないと言う普通に思えない事が続々と出てきてテッドは困惑する。
「プレイヤーはスタッフとプレイヤーの区別がつきません。
リリオさんの頭の上には透明な球体がありますよね?
あれに心が宿ると色が着きます」
「球体?」
テッドにはそんなものが見えていなかった。
「え?テッドさんは見えないんですか?
でも僕もテッドさんの頭には球体が見えていませんよ?
だからテッドさんはプレイヤーではなくスタッフです」
「何故だ?そこも記憶が無いことと関係しているのか?」
「それこそ神様に聞かないとわかりませんね…」
オプトが困った顔で言う。
「心とは?」
「それは神様から聞いた話になりますが、プレイヤーは外から来る人間で、ずっとはサルディニスに居られないんです。
神様に認められていない人は2日に一度しかサルディニスに来れないんです。
リリオさんの球体は透明。もう3年はサルディニスに来ていません」
「それなら彼女はなんなのだ?」
「心が来なくてもリリオさんはリリオさんなので、心のあるリリオさんと同じ行動をします」
そう言ってオプトはテッドに説明をする。
心が来てから21日までのプレイヤーは球体が青、それから1年までは黄色、そして3年までは赤色になると…。
「次です。プレイヤーは神様を確認する事が出来ません。
なのでリリオさんは僕が教会に行くと言った時に違和感がありましたよね?
プレイヤーにとっての教会はあくまで祝福を教えて貰う場所であり、仕事をくれる場所なんです」
「仕事…」
「はい、リリオさんは教会で防衛の仕事を受けたんだと思います。
なのでゴブリンと首狩り蟷螂と戦ってくれました」
仕事だったのかとテッドは納得をした。
だがあの実力ではロクな仕事も出来ないと思った。
「後、これが一番重要です。
無理矢理プレイヤーにスタッフやプレイヤーの違いを説明してはいけません。
なので教会で神様にお会いする事をリリオさんには言わないでください。
話の流れであればリリオさんには届きません。
それが正しい事なのです」
正しい?
テッドの脳内では正しいと言う言葉が反響していた。
何処が正しいのかわからないのだ。
その時、部屋がノックされてメイドが入ってくる。
「ああ、リリオさんを待たせてしまいましたね。今行くと伝えてください」
「かしこまりました旦那様」
そう言って立ち去るメイドを見て。
これも正しい姿なのか?とテッドは違和感を覚えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます