第3話 テッドの可能性。
テッドは逃げ出した3匹の魔物にあっという間に追いついて背中から斬り捨てた。
「逃げてんじゃねぇよ!」
そう言い放ったテッドの先には教会が見えている。
教会の前では僧侶が何人も倒れていて恐らく死んだのだと思う。
そして先ほど見えた豪華な鎧姿の人間…鎧姿の男も緑色の別の魔物、巨大な虫と言った感じの魔物と斬り合いをしていた。
軽装の人間、女は槍で小さな魔物に斬りかかるがうまく行っていない。
兎に角数で圧倒されているので突破されるのも時間の問題だ。
こうしている今も一段以上上等な服を着た僧侶が魔物の剣で斬り殺されている。
豪華な鎧の男は虫の魔物に手を斬り落とされて蹲った所で首を斬り落とされている。
「ざまあねえな」
テッドはそう言って笑うと全速力で駆けだす。
「退いてろ女ぁ!!」
テッドは女の周りに居た12匹の小さな人型の魔物をあっという間に斬り伏せる。
「あなたは?」
軽装の女がテッドに質問をする。
「黙ってろ。邪魔だ」
テッドはぶっきらぼうに答えると緑色の虫を見る。
「女、…邪魔じゃないな。あの虫は何だ?」
「はぁ?あなた魔物の名前や特徴も知らないの?」
「いいから教えろ」
「今斬り倒したのがゴブリン。それで目の前の虫は首狩り蟷螂。素早い鎌の動きで手足を斬ってその隙に首を斬ってくるのよ」
「首を斬る…か、わかった!」
テッドは一気に距離を詰めて8匹居た首狩り蟷螂を5匹斬り捨てる。
「何あの剣?凄い…」
軽装の女はそう言って唖然とする。
軽装の女が驚くのも無理はない。並の武器では首狩り蟷螂の外皮を斬り裂くことが難しく、豪華な鎧姿の男が持っていたように槌で叩き潰すか火で焼くか氷で凍結させるのが一般的なのだ。
「残り3匹だぜ?虫ぃぃぃ!!」
テッドは嬉しそうに前に出ると1匹、また1匹と瞬く間に2匹の首狩り蟷螂を斬り伏せた。
だが3匹目はその隙を見逃さない。
剣の無い左側からテッドに斬りかかったのだ。
「危ない!」
軽装の女は心配で声を上げるがテッドが無詠唱で張った光の盾は蟷螂の鎌を容易く受け止める。
「へ?何あの盾?」
女は驚く事しか出来なかった。
「まったくオプトの奴、何が唱えないと弱いだ。防げるじゃねぇかよ」
だが、防いだのは良いが、テッドは困っていた。
左右どちらかの鎌を盾で防いでその隙に剣を出して鎌を受け止めたとしてもその先が手詰まりなのだ。
次の鎌に対応できる自信が無い。
剣と盾を同時に出せない事がこんなに厄介だと思わなかったのだ。
悩んでいる間も蟷螂の猛攻は続く。
「何あの鎌…速すぎる。目で追えない」
女は唖然としながら言う。
テッドはその言葉を聞いてがっかりした。
一瞬でも隙を生んで貰って斬り捨てる事も考えていたのだ。
眼で追えない?
ふざけるなよ女。
俺にはしっかり見えてんだ。
あと一本剣があればあの鎌を切り崩せるんだ…
ああ、イライラする。
テッドの苛立ちが最高潮になる。
「ざけんな!こんな鎌斬り崩してやる!【ライトソード】【ライトソード】!!」
テッドが二度唱えると右の手にはオレンジ色の剣と左の手には黄色の剣があった。
その剣で左右の鎌を弾く。
首狩り蟷螂は一瞬身じろぎしたがすぐに体制を整えて再度鎌を振ってくる。
「斬り崩してやる!!」
テッドがそう言って首狩り蟷螂の鎌に対応して剣を振るう。
「何あの剣、二刀流?」
「オラ!どうした!?チンタラやってっと斬り伏せっぞ?」
その言葉の数秒後には左の鎌を斬り飛ばしたテッドは続けて右の鎌、左右の足を斬り落としてから首狩り蟷螂の首をはねる。
「へ、首を斬られた感想はどうだ?」
そう言ったテッドは高笑いをした直後「あ?なんだ?」と言って気絶をした。
「ちょっとあなた?」と言って軽装の女がテッドの元に駆けよって行く。
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