第2話 テッドの初戦。

テッドは階段に着く。

眼下に街が広がっていて、ここが一段高い場所に作られた屋敷だと言う事がわかった。

眼下の街はオプトの屋敷を背中に置いて右から火事になっていた。

左に見える青い屋根の建物がオプトの言っていた教会だろう。


「とりあえず試すか…【ソードマスター】【ライトソード】」

そう唱えると手にオレンジ色の光る剣が現れた。


「これがライトソードか?」

目についた手ごろな石を斬ってみると剣は何の抵抗もなく石を斬り裂いた。

だが、ソードマスターの方は何も起きない。

これはどういう事なのだろうか?


テッドは出来上がった光の剣を見ながら何か昔の事を思い出せないかと考えてみたが何も思い出せない。


「今はいいか…次だな【ライトシールド】」

そう唱えると持っていた剣が消えて今度は盾が出てくる。


「剣と盾は同時に使えないのか?」

とりあえず剣と違って盾は試せないが大きさや形を確認する。



テッドは剣と盾の確認をすると階段に座って魔物を待つ事にした。

次第に右の火事は酷くなり。眼下の街からは悲鳴が聞こえてくる。

テッドはそろそろかと思いながら眼下を見ると、僧侶と言った風貌の者たちが左から来て右に進んでいく。

そして絶叫と鉄と鉄がぶつかり合う音がする。

その後ろから豪華な鎧姿や身軽そうな服装の人間が僧侶と同じ方角へ前進をしていく。


「何だあの組み合わせは?」

すぐに戦闘音が聞こえてくる。


テッドは、魔物たちはあの集団に倒されて自分の出番は回ってこないかもしれない。

そう思った時に右側から緑色の小さな魔物が5匹ほど教会に向けて走り抜けていくのを見た。

「突破されたのか?」


その後ろを豪華な鎧姿の人間達が走って追いかけていく。

まあ、残り5匹なら何とかなるだろう。

だが、5匹ではなかった。

今度はその後ろから更に10匹の形の違う緑色の小さな魔物が右から左に行く。

そして今度は前方から来た緑色の魔物が30匹迫ってきた。

15匹は教会に向かったが残りの15匹はコチラを見て笑いながら攻め込んできた。



「【ライトシールド】」

緑色の魔物はテッドに向かって石を投げながら走ってきた。

テッドは光の盾で石を防いでみると光の盾はビクともせずに石を受け止める。


「これは…凄いな」

だがこのまま防戦では数で押し切られてしまうだろう。さっさと数を減らすに限ると判断したテッドは光の剣を出すと迫ってくる緑の小さな人型の魔物に斬りかかる。


テッドの剣は余りの速さで緑色の魔物をあっという間に真っ二つにする。

気勢の削がれた緑色の魔物はたじろぎながらテッドを睨む。


緑色の魔物は3匹同時にテッドに斬りかかる。

テッドは何も問題が無いように剣を振るい緑色の魔物を瞬殺する。


「4…、残り11。なぜ動けるんだ?」

テッドは緑色の魔物の事よりも自分がこんなに動けると言う事に動揺していた。


緑色の魔物もその隙を見逃さない。

今度は3匹が石を投げて5匹が斬りかかる。


テッドは無詠唱、唱えずに光の盾を張って石を防ぐとその盾で緑色の魔物に殴りかかる。

2匹が盾に殴り殺された所で剣に切り替えて残りの6匹を斬り捨てていた。


その時、テッドの中で異変が起きていた。

奥底から凶暴な何かがはい出てきていたのだ。


「ぐあぁっ!?」

テッドはその時、激しい頭痛に見舞われた。


残りの3匹はその隙を見逃さずに急に反転して階段を駆け下りて左側…教会の方へ走っていった。


「くそっ!」

頭痛の引いたテッドが忌々しそうに逃げた緑色の魔物を睨む。


「逃がすかよ。お前ら皆殺しに決まってんだろ!!」

そう言うと階段を物凄い速さで駆け下りていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る