第18話6
「それって○○さんの学校自体に持ち込んじゃダメなの?それとも授業中に使っちゃダメとかなの?」
「はい。学校自体に持ち込み禁止になってます」
「ええ?それっておかしくない?」
「ですよね!」
「だってさあ、緊急事態、極端な話、命に係わることが起こることだってあるわけでしょ?いち早く誰かに連絡を取らなけらば行けない場面にはスマホって必要だと思うけどね」
「私もそう思います。結局大人は自分の考えを押し付けたいんだと思います」
「ちょっと待ってね。○○さん。それは言い過ぎかもしれないかな。まあ、今回の件をまずはリスナーのみんなも聞いているからね。それについて話しようか?」
「あ、はい」
「このラジオを聞いてくれているリスナーは主に十代の子たちが多いと思うんだけどさあ。やっぱり同じようなメールもたくさんいただいてます。○○さんと同じような境遇の人は多いと思うし、同じような経験、考え方の人も多いと思うよ」
「そうなんですか。やっぱりそうですよね」
「学校の先生の言い分もあると思うし、僕は○○さんの学校の環境は知りません。だから今、○○さんから話を聞きながら想像でお答えすることしか出来ません。○○さんの学校はそもそもいつからそんなおかしな決まりが出来たの?」
「え、あ、えーと、私が今の学校に入学する少し前だと聞いてます」
「へえー、そうなんだ。それで○○さんのクラスメイトや友達は何て言ってるの?」
「はい。それは絶対、学校が間違ってるって言ってます」
「そうなんだ。ちなみに聞きたいんだけどね。〇〇さんの友達やクラスメイトの中に内緒で学校にスマホを持ち込んでいる子はいるの?」
「あ…、見たことはないですけど友達から別の人は隠して持ち込んでるって聞くことはよくあります」
「そうなんだー。でもさあ、僕思うんだけどね。スマホを学校に持ち込むこと自体『何が悪い』ことなのか僕にも分からないなあ。だってさあ、別にカンニングとかに使えば悪用になるから禁止するのはアリだと思うけどさあ。そんなことしないと思うし。○○さんもそんなことしないよね?」
「はい。それは悪いことなんで私はそういう使い方はしません」
「だよね。それを大人たちの考え方で、つまりさあ、授業中にゲームとかラインとかをさあ。ついついスマホを開いて使っちゃう子も出てくるからそういう決まりを作ったのかもしれないね」
「それはあると思います」
「だよねー。僕思うんだけど、結局は使う人のモラルによると思うんだよね。大人が強制的に無理やり禁止するよりさあ。逆の考え方で頭をもっと柔らかくしてさあ。明らかにルール違反した人のスマホを没収とかにすればいいと思うんだよね。だってスマホって便利だよ。もしもの時のことを考えたらスマホがあった方がよかったって場面も絶対あると思うし。それを一括りにしちゃって禁止しちゃうのはちょっと乱暴すぎるかな?と僕は思うかな」
「私も同じ考えです。使う人のモラルによると思います。家庭科の授業で包丁を使うこともありますし。じゃあ包丁は危ないから禁止にするかといったらそんなことはしてませんし」
「あ、今、〇〇さんがいいこと言いましたよ。本当、今、〇〇さんが言ったことがそのまんまこの問題の真理だと僕も思うかなあ。結局使う人のモラルによるよね。それらを工夫したり努力せず、一方的にスマホは悪いものだと決めつけて禁止にするのはおかしいと僕は思いますね」
僕はこの二人のやり取りを聞きながら「随分軽いな」との印象を受けた。未成年は子供だ。大人が決めたルールに従うべきだと思う。そもそも貧富の差でスマホを持ってない子だっているかもしれないと思うし。高校生がスマホを持っていて「緊急事態」、「命に係わる場面」ってなんだろう。学校には電話は必ずあるし、責任を持った先生も多いと思う。真っ先に先生に知らせればいいし、学校の外なら警察や大人がいる。コンビニも多いし、そこに駆け込めば現代では割とそういう「緊急事態」に対しての対応準備はしっかりしている。公衆電話もあんまり見かけなくなったけど緊急の場合は無料で利用できるし。そもそも「おかしな決まり」という言葉に僕はとても違和感を覚えていた。きっと僕の意地悪な部分が反応したんだと思う。ちなみにうちの子供にはスマホを持たせていない。別に金銭的な問題ではない。いつかスマホをねだられる時が来ると思う。その時がくれば我が子としっかりと向き合って話し合い、僕が納得できる理由があればそれを買い与えるつもりだ。それよりも僕はスマホを飛び越えてパソコンに興味を持ってくれたらいいなあとも考えている。その時はすぐに快諾してリナックスパソコンを買い与えるつもりだ。
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