第17話5
僕は行動に移そうとしていた。なんの行動をするのか?と聞かれれば「父の生い立ち」を調べることだと答える。母から聞いた「探偵」という選択肢が頭の中の円グラフで180度以上の割合を占めていた。でも何かがそれを否定する。今はネットが普及しているから調べたいことは大体それで調べられる。また「探偵」はいろいろと胡散臭いのも僕は知っている。決して金銭が惜しいからという理由ではない。おばあちゃんが『聞き合わせ』代わりに「探偵」へ十四万円を支払ったこととかも考える。『三十年の往復切符』は安いものではない。今、ネットで出来ることと言えば
・個人の住所・電話番号が調べられる(これはネット版タウンページのようなものであり。今は個人のプライバシー問題があるためこれらのサイトの存在はグレーなものである)
・SNSで父の身内を特定し、コンタクトを取る
ネットとは別で、
・父に直接聞きたいことを聞く
消去法でいくとこれらはすべて消えることとなる。まず、ネットで個人の住所や電話番号を調べることが出来ても父の身内の名前など僕は知らない。SNSもそうだ。匿名性の高いこれらのサービスもある「コツ」が実はあって。個人を特定することはそんなに難しいことではないと僕は思っている。だけど肝心な特定したい個人が分からない。そして父に直接聞きたいことを聞いても簡単に「覚えていない」「忘れた」とはぐらかされるのは容易に想像出来た。僕の「個人的な好奇心」と「特別な権利」。僕は単調な日々を送りながら、そんなことを一生懸命考えていた。
僕はいろいろなことを考えた。ある日、会社で残業をしているた時。会社のオフィスで流されていたラジオのある番組のあるコーナー。それが僕の耳に入ってきた。その番組は十代の若者をターゲットとしたラジオ版自由な学校のような番組だった。その番組の質問コーナーに送られてきた(今の時代、ハガキなどは送らないみたいで。ラジオのDJは「番組へのご意見は『ハッシュタグ〇〇』をつけてSNSに投稿してください」とか言っていて。他にはメールなんかでも意見を募集はしているみたいであり)意見や悩みに対してDJが自分なりの考えを言っていた。
「はい。今、リスナーの〇〇さんと電話が繋がってます。もしもし」
「もしもし」
「DJの〇〇です。はじめまして。こんばんは」
「えー、あ、はじめまして。こんばんは」
「ラジオネーム〇〇さんはメールで意見を送ってくれたんだよね。○○さんの不満かな?それをみんなの前で言ってくれるかな?」
「はい。私は高校二年になります。私の学校ではスマホの持ち込みを禁止しています。それってひどいと思いませんか?」
僕は仕事をしながらそのDJとリスナーのやり取りに少し興味を持ち、仕事の手を止めずにそれを聞いた。
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