第4話 きまずさ


後日、僕は神社でバスケ部にお姉さんと駄菓子屋のおっちゃんから聞いた話を話してあげた。


「そうだったのか…どうやって調べた?」


「駄菓子屋のおっちゃんと和服のお姉さんから聞いた」


「お姉さん?」


「そう。美和ちゃんのお人形なんだって」


「人形と…?どうやって話したんだよ。いい加減なこといってんじゃねえよ!」


バスケ部は怒ってどこかに行ってしまった。


ありのままに話した僕は、バスケ部がいなくなった後、ショックで思わず泣き出してしまった。



「よしよし、お前さんはよくあいつの頼みに答えていたぞ。大丈夫だ。あんな言い方せんでもよかっただろうにな」と和服のおじいちゃんは慰めてくれ、最後にぼそっと、まあ、やつもやりきれないんだよと言った。




僕は泣きべそをかきながら帰ることにした。


駄菓子屋の前を通ったとき、おっちゃんが話しかけてきた。


「おーい、どうしたんだ?」


その言葉に僕はもう一度盛大に泣き出してしまった。


おっちゃんはそっと抱きしめてくれて店の中に入れてくれた。


レジの奥の座敷に僕を座らせてくれて、僕が落ち着くまで横に座って肩をさすってくれた。


「よしよし、これ食べていいからな」


おっちゃんはお店のキャラメルをくれた。


落ち着き始めたころ、僕はキャラメルを口に含んでいた。


僕は一切合切をおっちゃんに話していた。


おっちゃんは静かに話を聞いてくれた。


そして「そんなことがあったんだなぁ」とつぶやくように言った。


僕はその日、それからどんな風に帰ったかは覚えていないが、気付けば家に帰っており、数日が経っていた。


僕はまた神社に来ていた。なぜ行ったかは定かではない。



バスケ部がいた。



僕たちは気まずくなった。


バスケ部はやりにくそうだったが唐突に「こないだは悪かった…ごめん」と言った。



僕は「うん」と言った。



「駄菓子屋に案内してくれないか?」


「え…うん」


僕はバスケ部と一緒に駄菓子屋に行くことにした。


道中、僕たちは何も話さなかった。


黙々と駄菓子屋に向かって歩いた。


肩でも凝りそうな空気の重たさを感じた。


駄菓子屋に入るとおっちゃんは心配していたという口調で話しかけてくれた。


「おお、こないだは大丈夫だった?」


「大丈夫だよ」


そのまま僕とバスケ部はレジの前まで来た。


僕は隣の何もない空間に向かって「あの人が美和ちゃんのお人形さんだよ」とバスケ部に説明した。



おっちゃんは不思議そうな顔をして僕を見た。



バスケ部は「美和さんの…」とつぶやいた。

バスケ部はなんとなくぼーっとした表情で続けて「そうなんだ…」と言った。



「いらっしゃい」駄菓子屋の入口の方から綺麗な声が聞こえた。


僕とバスケ部が入口の方を振り返ると人形のお姉さんが立っていた。



「あなたが美和さんのお人形さん…?」


「そうよ。あなたが美和ちゃんの初恋相手ね」


お姉さんは穏やかな表情をしている。



おっちゃんが僕に尋ねた。


「どういうことなのかな?」


僕はごく当たり前かのように説明した。


「前に話したバスケ部のエースを連れてきたんだ。そして美和ちゃんのお人形さんに会わせてあげたんだ」


そういうと、おっちゃんは一瞬ハッとして店の入り口の方を向いた。


おっちゃんは「そう…なのか」と言った。


「おじさんにも一瞬見えた気がしたよ」



僕はあっと思ったが、それからおっちゃんはぼうっとして入口の方を眺めていた。


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