『死神のおすすめ』

※ネタバレありです


 本作は「第一回芦花公園百物語」参加作品です。

https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054903006797


 作品URL

https://kakuyomu.jp/works/1177354054917884646


 本作ですが、ワンアイディア一発勝負なのでもしご関心がおありの方は上記リンクよりご一読頂けましたら幸いです。割とさらりと読めると思いますので……。


 芦花公園百物語の参加に当たり、6~7本ほどホラー小説ネタを考えていたうちの一作です。Twitterを題材にしたソーシャルホラー、「邪教」をテーマにした土着信仰ホラー、新宿のスカウトが主人公の都市型ホラー……その中でも何となく書き上げてみたいと感じた邪教ホラーに関して、私のホラー来歴の多くを占める「洒落怖」フォーマットに則って書こう! ……としたらどうにもうまく進まない。思い入れが強すぎるのかもしれない。


 というわけで、最初から最後まで頭の中で展開が作れていた本作を書き始めた、というのが実態です。2~3時間くらいで書いたのではないだろうか。スモウ・レスラーより速かったかもしれない。そして変に思い入れていないものほど整ったものが書ける気がする。悟りが足りない。


 何となくタイトルが良い感じに決まれば後は全部書けそうな気がする、というような感覚をお持ちの方がいるかもしれませんが私もその類で、このタイトルはスルッと出てきたのにお気に入りです。『神様だけが見ていない』もお気に入りですね。

 「良いものはそれにとって最速で仕上がる」は西尾維新先生のお言葉だったか。


 力を使うことをおすすめするのか、力を使う対象をおすすめするのか。こういう「普通はあまりセットで使われない言葉」を組み合わせた文字列はそれだけでワクワクしてきます。


 文体については、語り手がどちらかというと粗野な感じのパーソナリティなので、持って回った言い回しはなるべくしないようにしたくらいです。としてみると、逆に普段自分が結構持って回った言い回しを好んで使っているな……と反省することになりました。素で書くと結構直すことになる。


 気をつけたのは、突飛な話なのにだんだん信じる気になってきている主人公の心の推移を違和感なく表現することだったのですが、果たして上手くいっているのか。最初は小さなものだった考えが、反芻しているうちに徐々に自分の中で大きなウェイトを占めるようになるというのはよくあるのではないか、と思いながら書いていました。


 最後に、本作の主人公である安達は、口調は粗野なものの決して勇気があるわけではなく、むしろヘタレです。だからこそ他者の目を気にせずに生きられるとなった瞬間に心が晴れ渡るわけですが、それについては別に殺人の力を持っていなくても本当は実現できるはずで。


 ヘタレな主人公が、理に背いた力を得てハイテンションになるけれど、それが原因で最悪な事故を起こし、最終的には理に背いた力にさえ背かれる。


 最後のオチを思いついたのは実は書き始めてからなのですが、このオチを思いついた瞬間に「ひっでえ皮肉」と作者は満足げに頷いたのでした。

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