怖い話 2020

最近のカメラは

　最近、心霊写真って見なくなったなと思いません？

　ほら、あの写真に、人の顔みたいな影が写ってるとか、ぼやっとした光の玉……オーブって言うんでしたっけ？　ああ言うのが写ってるとか、なんか手が一本多いとか、逆に足りないとか、そういう写真のことですよ。

　一時期流行りましたよね。夏になると心霊番組やって、雛壇のゲストが写真を見てきゃー、ってあれ。

　いやー懐かしい。

　おっと、心霊写真の話でしたね。

　見なくなったと思いません？　みんなが持ってるスマホに高性能なカメラが内蔵されてて、事あるごとにぱちぱち写真撮るようになったのに。

　理屈の上から見れば、心霊写真、もっともっと増えてるべきだ、写真の総量が増えてるんだから……そうなりますよね？

　でも、そうなってはいない。

　心霊写真なんて、インチキばっかりだった？　まぁ、そういう見方も有るかもしれませんね。

　パソコンの普及で、簡単に画像が加工できるようになって、しかもその事を簡単にインターネットで主張できるようになったとか、心霊番組、作る気しないでしょうね。

　まぁ、でも、それだけじゃないかもしれないなって。

　どういうことか、ですか。

　最近のスマホに搭載されてるカメラって、凄い高性能なんですよ。

　本来、写真を取るのって結構大変なんですよ。光の具合とか、ピントの合わせ方とかね。でも、スマホのカメラはそんなこと気にしなくても、簡単に、誰でもちゃんとした写真が取れるでしょう？

　あれは、スマホの中のＡＩとかが、自動で調整してくれるからなんですよね。いやぁ、本当に便利になったもんです。

　それでね、そんなスマホのカメラに任せるとね、消されちゃうんですよ。ちょっとした間違いの類はね。

　だから、本来は心霊写真として、写っちゃったものが、見えなくなってる。

　在るかもしれませんよ、あなたのスマホの中にも。本来は、写っちゃったはずの写真が。持ってるだけで危険な写真が、あなたに見えない形でね。