第4章 現在編
第25話クリスの死刑?
アルにムー共和国から強制送還された俺様は王都に到着するや否や国王と教皇猊下と面会させられた。ここで、逃げた理由を説明する必要に迫られる。もちろん、あーちゃんからのアドバイスに従い、二人から選ぶ様な罪な事は出来なかったと説明するつもりだ。
アルに連れられて、謁見の間に進むが、アルのに形相が少し怖い。何故か険しい形相をしている。何となく、嫌な予感しかしなかった。
謁見の間には国王と教皇猊下の他、俺様の父ちゃんと左大臣のベネディクト・ヴァーサ、 それに何人かの勇者がいた。そして何故かあーちゃんも一緒だった。
「二人共面をあげぃ」
国王陛下の一声の元、俺様とあーちゃんが頭をあげる、俺様達二人はパシフィス帝国の王子様から求婚されているにも関わらず逃げた訳だから、当然、罰を受ける事になる。修道院行きだといいな♡
「クリスティーナ穣、そなた、自身がなんとした事をしでかしたか、良く分かっておるのか?」
国王陛下に問われる、当然、帝国の王子の求婚に答える前に逃げたのだから、かなりの問題行動だったのだろう。俺様は予定通りの言葉を綴った。
「国王陛下、大変申し訳ございません。帝国の王子様の求婚、ありがたき幸せでした。しかし、幼馴染のアルからの求婚もございました。私の様な婚約破棄された者に勿体無き二人のお心・・・私には選ぶ事等できませんでした。二人共素晴らしい殿方です。そのどちらか、お一人だけを等、その様な事、私のおかれた身には心苦しゅうございます」
「うーむ。そなたにとってはそう思えるのか? 正直、普通なら、喜ぶだけだと思うのでだが?」
「国王陛下、発言を許可頂きたい」
アルだ。アルは俺様を擁護するつもりだろう。子供の頃から躾はしっかりしている。アルが俺様を擁護する以外の事は絶対しない筈だ。
「罪は僕にございます。僕は自身の感情に捕らわれて、クリス、いや、クリスティーナ様に求婚してしまいました。僕は彼女を追い詰めてしまいました。彼女は魔法学園の聖女と呼ばれる美しい心を持った女性です。彼女の言う事は本当だと思います。僕が悪いのです」
「勇者アルベルト、そなたの言う事はワシも分かっておる。しかし、帝国の王子の求婚に答えず、逃亡等、我が国としては、クリスティーナ穣の首を撥ね、帝国へ送り届ける以外に謝罪の方法が無いのじゃ」
今、何とおっしゃいました国王? なんかイェスタへのお詫びに俺様の首を撥ねて送り付けるとか言った様な気がする・・・嘘だよね? そんなの酷すぎねぇ?
「しかし、僕が!」
「勇者アルベルト、そなたの気持ちはわかっておる。ワシとて、辛い。第三王子のカールが婚約破棄等せねば、この様な事態は招かなかった。我が第三王子も泣いてクリスティーナ穣の心配をしておったのじゃ。しかし、この事態を収めるにはやはり・・・」
俺様の首ちょんぱな訳? 俺様、冷や汗ダラダラ出てきた。こんな思いをしたのは、カール、イェスタやアルに求婚された時位だ。
「国王陛下、発言を許可頂きたく存じます」
あーちゃんだった。あーちゃん、一体何を? あーちゃんが俺様の事を想ってくれるのはありがたいけど、あーちゃんは男爵令嬢の身、うかつな事を言うと不敬罪にあたる。お願いだから、気をつけてね!
「そなたは?」
「クリスティーナ様の専属メイドのアリシアと申します。発言を許可頂けたという事で宜しいでしょうか?」
「うむ、許可しよう。クリスティーナ穣専属のメイドの其方が思う事等は察しがつくが、そなたの主人の為の気持ちを汲もう」
「国王陛下。帝国の王子様へは私の首を差し上げてください」
「な!なんと!? 何故、そなたの首が必要なのじゃ? そなたと、クリスティーナ穣は別に似てもおらぬぞ?」
「国王陛下、クリスティーナ様に諫言を申し上げたのは私めにございます。罪は私にございます。何より、イェスタ王子がクリスティーナ様の首を送り付けられて、それでお心が晴れるとは思いません。あの方は、お心が広いと聞き及んでおります。クリスティーナ様の首等送られたら、ご機嫌をお悪くされるだけと思われます。ならば、私の首の方が!」
「うむ、検討しよう。確かに、あの王子はクリスティーナ穣に魔法学園中等部時代にも求婚しておる、うかつにクリスティーナ穣の首を撥ねてもかえって、ご機嫌を損ねるか」
「はい、宜しくご検討ください」
あーちゃんは自身の首を俺様の代わりに差し出せと言い出した。俺様はとんでも無い事をしてしまった。あーちゃんは最初から失敗した時、自身の首を差し出すつもりだったのだ。もちろん、俺様はそんな事は許せなかった。俺様は情けないが足ががたがたと震え、歯がカチカチ言っている。だけど、勇気を振り絞って言った。俺様の為にあーちゃんを犠牲に等、漢として、許せない。俺様の罪なのだ。俺様のすべき事は一つだ。
「国王陛下、私に発言の許可を頂きとうございます」
「なんじゃ、クリスティーナ穣?」
「メイドのアリシアに罪等ございません。彼女は主人である私を守る為、嘘をついております。誠の忠臣にございます。その様な者の首を撥ねる等、あってはならぬと思います。ここは私の首を撥ねてくださいませ」
「・・・・・・」
国王もはじめ、多くの人達が黙り込んだ。
「よくぞ言った。やはり、魔法学園の聖女じゃ! そなたの心、確かに汲んだ」
「ありがたき幸せにございます」
俺様、斬首確定しちゃった。でも、涙は見せない。好きな女の子を守る為に命を落とすのなら、漢の本望! ましてや、俺様が悪いんだ。自業自得なんだ。
「そろそろ良いか、ケーニスマルク公?」
「はい、クリスめも、いい加減、懲りたものと思われます。国王陛下をはじめ皆様へのご迷惑とご協力に感謝致します」
父ちゃん? 何を言っているの?
「クリス、イェスタ様からは、クリスの斬首等、絶対しない様、御達しが来ておる。あの方に感謝せよ。お前はお転婆が過ぎる。それに、かの王子からの伝言だ。本当に好きな人と添い遂げろと・・・あの方はお前が幼馴染のアルを選んでもかまわないとおっしゃっておる。感謝するのだぞ!」
俺様は思わず泣いてしまった。あーちゃんの身が安全になった事もある、だけど・・・
「あ゛、あ゛りがどうございま゛ずぅ……あーちゃん……良か゛った゛ぁ……」
「クリス様! 良かったですね!」
あーちゃんが励ましてくれる。だけど俺様の涙は止め処もなく無く流れた。だって、二択で男に嫁がなきゃならんのだぞ! 何故第三の選択に修道院がないんだよ!
だから、無理って、どうやって、女の子として、男に嫁げって言うんだ! 心が死ぬわ! 夜の事考えたら、顔面蒼白ものだ。やっぱり、楽に死ねる薬探そうかな......
「国王陛下、クリスへお灸をすえた処で、本題をお願いします」
「うむ、ケーニスマルク公、そなたもモテ過ぎる娘を持つと大変よのう」
「いえ、正直、もう少し普通の娘が良いという気もします」
「其方は贅沢すぎるぞ。聞けば妹姫もかなりの美人、これから求婚する者が後をたたんじゃろう」
「妹の方は普通にございます」
「其方は普通の基準が壊れておるぞ!」
「お誉ほめの言葉ととらせて頂きます」
「はは、まあ良い。本題に入ろう。さて、勇者アルベルト殿及び聖女クリスティーナ穣、教皇より、魔王封印の命がこれより下る。心して、このアトランティス王国の為、使命に準ぜよ」
「はは」
「あい」
そして、教皇猊下より使命の説明があった。
「勇者アルベルト、及び聖女クリスティーナ、二人には北の魔境へ行ってもらう。かの土で、聖なる鏡の対にある魔の鏡を破壊し、魔王の封印を確固たるものとせよ!」
ど? どゆ事?しかし、俺様に拒否権は無い。
「承知しました。猊下」
「承知致しました。教皇猊下」
俺様は王都を離れてから起きた事をアルから聞いた。どうも、俺様、戦いの聖女とう者らしい。そして、俺様が、この国から離れたせいで、聖女の加護が弱まり、魔王の封印が少し解けてしまったらしい。封印を強くするには、魔境に入り、魔の鏡を壊す必要があるそうだ。聖なる鏡にひびが入ったという事は魔の鏡が復活し始めている筈だという。そして、魔の鏡にダメージを与える事ができるのは戦いの聖女たる俺様だけらしい。
こうして、俺様とアルは北の聖地アウグスブルクへ向かった。俺様はこっそり毒を手に入れた。それは自決用と、隙を見て、アルに毒を盛ろうと思った。でも、実際、アルに毒盛るのはできそうにない。アルは怖いけど、一緒に仲良く育った幼馴染だし、助けてくれた恩人だ。俺様に求婚なんかしなければいい奴なんだ。流石にアルに毒を盛るのは気が引けた。多分使う時は以前、冒険者に襲われた時の様に、魔物に襲われて、されちゃいそうな時だろう。その時は多分、躊躇無く使う。
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